メタバコ完結。プレミア公開でリアタイした。よすぎたな…
↑これは最終回
よかったのでメタバコとはなんぞやを紹介します。
『メタバコ』紹介(ネタバレなし)
『Fラン大学就職チャンネル 』という、就職支援や教育を目的に運営されているチャンネルの動画です。この1文では実態が全く伝わらなさそうすぎる。
運営者のエフ氏は、就職支援情報や社会・経済などの情報を『解説動画の形式では届かない層』にリーチするためにひたすら物語形式のエンタメショートストーリー動画を作り続けていて、今回の『メタバコ』は特別版の長編動画になってます。
エフ氏は『教育・支援目的のコンテンツ』制作者ではあるものの、エンタメ物語作りの能力が異常に、異常に異常に異常に異常に異常に高く、もちろん動画の目的は教育支援なんだけど、普通にエンタメ目的で見ても死ぬほど面白いという、なんというか稀有で異常なエンタメ提供者。教育支援動画を見にエンタメハイエナ視聴者が群がるという異常な光景が広がるチャンネルです。
基本的には現実的でシニカルギャグ風味で風刺的な作風なんだけど、長編の重厚な物語を作る場合、ただ世を風刺するだけではなく様々なことに真摯に向き合い、どん底を見てもよい未来を諦めねえぞという“強度の高い綺麗事”でまとめる力強さを発揮します。今回の長編『メタバコ』はねえ………それらの集大成くらいの勢いがありましたね……
↑1話
それで、『メタバコ』の概要なんですけど、ざっくり言うと『近未来、囚人を入れるVR刑務所が舞台で、罪を犯した記憶のない主人公がそこからの出所を目指す話』って感じです。
そこにいるのは全員犯罪者ですから、もう悪いことを企んでいるカスばっかりが出てきて主人公をハメようと次から次へと群がってくる、序盤~中盤はもうかなりストレス圧が高い話なんだけど(適度なガス抜き展開もあるが)、作風として『カスのキャラをただ悪いことさせるためだけの道具として登場させない』は徹底していて、ネームドキャラにはしっかりバックグラウンドがあり、モブにしても……という話は内容に突っ込んでいってしまうので一旦控えて……
とにかく話のリアリティがすごくて重たくてストレス展開も多くて厳しいものを沢山提示されるのだけど、それはどれも現実に存在する問題の投影だし、あまり関わりのない場所にいる人々にもそれを認識させるという点では教育コンテンツとして極めて真剣に描いていると言え、
その上で単純にストーリーがバカ面白い、登場人物がみんないいキャラしてる、キャラ同士の関係性もゲキアツ、しっかりとしたカタルシスと納得のいくエンディングに辿り着くことができ、笑えて泣けるという『よいエンタメ』たりえるものをを全部満たしているという。そういう感じの話です。
上記のような要素(現実的な話)を含んだ話をしながら説教臭くならず、つまらなくならず、最終回のプレミア公開に同時接続数1万越えを達成してるの、わけわかんなすぎる。流石に途中でキツくなって離脱した人も少なからずいるだろうが、それでもこの数だよ。こんなに真剣に伝えたいメッセージ打ち出した上で作品として面白すぎてエンタメハイエナをやみつきにさせることができるんだ。異常。異常ですよ。エフ氏のコンテンツ能力は……。
というわけで、長いのですが気になった方はお正月にでも是非………
あと、『こういう現実的な問題を描いている作品をエンタメとして享受するのは如何なものか』についてモニャモニャ考えてたつぶやきのリンクも保管しておこう。一応ネタバレらしいネタバレはない

あと別の長編の紹介記事も書いたことある

以下はネタバレを含む最終回の感想です
最終回の感想(ネタバレあり)
いや~~~~
もうよくできているとしか言いようがなく……………
9話の段階で『種まきは完了してるからあとは爆発させるだけ』状態かなとは思っていたのだけど、爆発のさせ方がすごすぎる。どれだけ予想の上をいくんだと慄いた。
まずなんだろな……教団かな……
なろうラノベ読み上げ教団、最初出てきたところはニコニコのコメントでもバカにするのが多数で、でもエフ氏って既存コンテンツや実在人物をイジることは多々あれどただの嘲笑対象として終わらせることってまずないよな……。もちろん宗教という文化についても、単に新興宗教こわ^^;みたいな浅い触れ方することはありえんよな……この後の展開でどう生きてくるのかな………と思っては見てた。
いやもうすごくて、あの世界の競争社会において透明化していた『それ以外に生きがいを見出す層』を補完する側面もあったんだな。†キリト†は特に。
最初にデータマイニングの描写を見た時正直私も思ったもんな、これめちゃくちゃ面白くない?って。失われた旧時代のデータの発掘、面白そうすぎるし、旧時代ではしょーもないコンテンツとされていたものが後の時代ではなんか高尚っぽいものとして扱われることもある、みたいなのは時代の繰り返しって感じでワクワクしたし。†キリト†が出てきた瞬間、“俺”の感情の入り先やん!!って思っちゃった。別に自己投影とか感情移入とまではいかないんだけど、社会にいる色んな人々の縮図を描いているという前提で、『自分の感情が入り込める存在がちゃんと用意されている』の、なんかこう、謎の嬉しさがあり……。エフ氏の拾い上げの丁寧さが光るな……。
ただ、もちろんそれだけに没頭しているあの末期の教団状態を肯定はしていなくて、それはそうとできることはやろうね的なメッセージはじんわり……そうです……。
†キリト†とカルアの関係性、急にぶっこまれて強いのちょっと面白かった。自分とは違う世界で生きてるヤツだからこそ一種の清涼剤になるやつ、たしかにあるのかもしれない。そして†キリト†はなんやかんや借りた1000徳返しててえらいなと思った。
そしてあの、SUNPEIの話ですよね!?お前、お前お前お前!
SUNPEIってもうあのままフェードアウトしても全然よかったくらいの存在だったのに、最後の最後で必要不可欠なラストピースとして大活躍するのマ~~~~~~ジでヤバすぎる。エンタメ力が爆発してる。爆笑した。爆笑したし、こんなに無駄無く登場人物使い切れるのヤバすぎるだろ!!!!!!!と慄いた。
田中の根回し力はすごいけど、確かにあの状態でなんとなくうまくいってもイマイチスッキリはしないというか、ちょっと都合の良さみたいなものは生じてしまうものな。あの場での田中の印象や信頼力も含めて。
SUNPEIの何がすごいって、『SUNPEIならありえる』っていう説得力が全身から出ていたこと。普通、株買っただけで他の買い手が全員大混乱になるなんてまずありえない、非現実的だ。でも、SUNPEIはそこに納得感を出せてしまう。それはこれまで散々描写してきた情報もそうだし、実在人間オマージュであることによって視聴者の脳内に蓄積されている印象を利用しているのもあると思う。日本一の大スターの通訳っていう最強のポジションを与えられながらギャンブルで破滅した人間なんてそりゃあ………
金や徳は返しませんが、恩は返さないと!
金や徳を返し始めたら都合のいいキャラ改変だけど、恩を返すくらいの感情はSUNPEIにもあるかな…と思える絶妙な塩梅。まあ恩を返すだけならタダだしね。(?)
散々序盤に首をしめていた田中の甘っちょろい対応、途中では何のリターンもなかったけど最後の最後に『情けは人の為ならず』で返ってきたのあまりにもあまりにもアツすぎた。それも、カルアからのパスあってなのも良い。全てが繋がってSUNPEIという最大のギミックが爆発したんだ!!エグい!!
SUNPEIの描写のハンドリング、マジですごかったと思う。クズであることを維持したまま味方として大旋回し、それによって発生した出来事によって少しばかり改心を促しているという。確かに自分の信用力のなさであれほどの大パニックが起きたら少し、少しは心も変わる……かもしれない。まあ微々たるものなので(あれで微々たるの異常だよ)(異常だからああなったんだよ)実際に出所したらまたギャンカス狂いに戻るだけの可能性は全然あるけどね。
プリ然り、この作品が描いていた『100教えたことのうち99を忘れても1残る、無駄ではない』『それでも人は変われるかもしれない』がSUNPEIにも反映されてたのがアツかった。作品テーマによってはSUNPEIはあのまま突き抜けたクズのままでいてもよかったと思うが(なぜ銅のサンカクなんかはそういう感じだと思う。あれはクズとはまた違った種だけど)、メタバコならこういうオチになるのはかなり納得です。
SUNPEI、名キャラすぎるだろマジで。心から笑えてそれなのにアツい。オークさん純愛なんや……💚
ああああ先生の改心、改心描写自体はかなり短かったけど無茶苦茶説得力あってすごかった。あんなにサクっと改心したのにご都合感がないの、ほんまにすごいです。
「ああああ先生に今のプリを見せたい」っていうのは視聴者みんなが思ってただろうし、それならもう多くを語る方が野暮というものですよね。俺も少し…泣いた。SUNPEIで爆笑した後だったのに(情緒めちゃくちゃやほんま)
最後の警棒のくだりも、多分あれああああ先生の入れ知恵だよな。ああああ先生起きる→告発→元から疑念のあった職員(多分アレン)と協力して所長を追い詰める、ということをやった結果なんだと思う。説明はされてなかったけど。ああああ先生が相当なキレモノで立ち回りもうまいのは分かってたし。
ここまで『暴力のない世界における競争と蹴落とし合い』をやってきて、最後の最後で暴力で解決するの、あまりにも示唆に富みすぎている。もちろん暴力それ自体を肯定するわけじゃないけど、やっぱりそれも含めて人の営みや均衡なんだろうなあというか。
あのカッパのキャラ、本来のメタバコ世界における案内マスコットだったのかな。ずっと誰もいない広大な大地でぼんやりしてたんだろうか。
物語自体はかなり大団円だけど、やっぱり誰もが改心してオールハッピーってわけじゃないし、モヤモヤも残しつつ、未来に希望も不安も残して終わり、というのも本当にこの作品のテーマ性を体現しててよかった。
罪を自覚したプリは多分この先たくさん苦しむことになるし、それを考えるだけでグウ……となるが、それこそがこう……アレだから……この物語の……アレだから……
メタバコは革命したけど、外の世界には大きな問題が残ったままで、出所した田中は今度こそそれを、本当の意味で変えるために“キレイゴト”をやっていくのだろうな。あーーー…
『キレイゴト』って言葉の使い方がすごすぎる。言っちゃえば8時間使って色んな醜さやどん底も経由した上で『キレイゴト』の強度を高める物語だからな……。序盤の表田中や過去の田中太郎の薄っぺらなキレイゴトを本物にするの、本当にアツすぎる。
モヤモヤしてもいい、ムカついてもいい、という思考の提示も多分エフ氏がこの物語で強く伝えたいメッセージなんだろうな。これは本当に最後まで視聴した人の多くに残る考え方だと思う。うーんうーん、本当にすごいな……。しっかり教育コンテンツをしながら説教くさくなくエンタメとしての完成度も高いの……すごすぎるな~~~~
なんか浅い感想しか言えてねえ気がするけどよ~~~ッ!!!すごかったよ!!!!エフ氏のこれまでの集大成すぎたよ!!!ほんとうにエグいクリエイターだと思う。後にも先にもこんな人でてこないんじゃないかとすら思う。前にもどこかの記事で書いたけど、今クリエイター単位で一番追いかけてるのってエフ氏まであるからな…

