
見た!これは人がいないタイミングを見計らってササっと撮ろうとしたらルーイエが見切れちゃった写真
以下ネタバレ感想
・糸目石田彰が出てきた段階で、「この作品がそんなインターネットオタクの言う“あるある”みたいなことを素直にやるわけないだろ、ミスリードです。」って思ってたんだけどやっぱりそうだった。
・別に全く怪しいことしてるわけじゃないのに顔と声だけでミスリードさせられる属性ってマジでなんなんだよ。

↑糸目裏切りは最早ミスリードに使われることの方が多くね?という過去ポスト
・ムゲンの強さが完全にギャグの域に達してて手叩いて喜んだ(この手を叩くというのは心理の話で映画館内で実際にそうしたわけではない)
・ていうかギャグマンガの最強描写で見たことあるもん。衛星ビーム撃たれて平気っていうやつ。やっぱりギャグじゃん!!
・でも確かに最強無敵って突き詰めるとギャグなのかもしれない。理不尽で意味不明でどうしようもないパワーと言えば、ギャグも無敵キャラも本質は同じだし。
・ムゲン、あんなに格好のつく戦闘シーンなのにナタ邸で借りたと思われる気の抜けた部屋着なのも面白さと強すぎさを両方演出してて良すぎ。ギャグ的なんだけど、ああいう場にああいうトボけた格好で出ていって無双しているっていうのが無敵さをより印象付けているというか。気合の入った戦闘一張羅着て戦ってるより強者感あるもんな
・そういえば前作はまだ中華アニメによくある変なテンションのギャグ風味のカットあったけど今回はもう完全になかったな。ありがたい。その代わりムゲンが真面目に強すぎることが一種のギャグ(扱いとしてはギャグではないが)になってるじわみ
・ムゲンってキャラクターの属性で言うと『導き手の師匠枠』『最強クラスにめちゃくちゃ強い』なわけだけど、これって普通の作品だとまず死ぬやつなんだよな。糸目の裏切りなんかよりもずっと高確率で死ぬ。とにかくまず死ぬ。まず犠牲になる。でもムゲンはそうじゃないし、普通に最強の力をめいっぱい行使しててすごいなって思う。
・なんでつよつよ師匠枠(導き兄貴枠)が死にやすいかっていうと、そいつが生き続けてたら緊張感がないからだと思う。そいつがいれば主人公がいなくても解決するじゃんっていう。だからそういうキャラは殺すなり封印するなり弱体化するなりしないといけないんだけど、ムゲンは以下略。
・何故ムゲンは生きているかというと、この作品における緊張感のポイントが『強ければ解決する』ってところにないからだろうなと思う。
・この作品の根幹のテーマ、問題、緊張感のポイントって『妖精と人間の関係、共存』なので、こればっかりはムゲンがいくら最強だろうがそれだけでは解決しないんだよな。殴って勝てば解決する作品性ならムゲンは生きてちゃマズいけど、羅小黒戦記は殴って解決しない問題の話をしているのでムゲンは生きててもお話上問題ない。なるほどなー。
・それでいてやはり力…力は必要……!という場面も多いので、そこでムゲンがサイキョ~~をやっていてシンプルにツエ~~~っと気持ちよくなれるという。ムゲン以外のキャラも大概バカ強いし。なんかメインキャラ全員基本クソ強いな…ってなる感じは九龍城砦思い出した
・ムゲンって前作ではまだ苦戦シーンもあったので、まあめちゃくちゃ強いけどめちゃくちゃ強い程度なのかな、くらいの認識だったんだけど、どっこい今作のアレを見せられると『いや違うわあれ、フーシーの領域がヤバいだけだわ、むしろあの領域内であんだけ動けてたムゲンが意味不明なことしてたんだ』ってなって味わい深かった。本来領域内に入れただけで勝利条件を満たせるはずのゲームだったのに、ムゲンがそのルールをひっくり返してただけだった。前作の解像度が上がる。
・すごい細かいんだけど、ムゲンが首を動かして顔の向きを変えながら瞳だけはずっと対象を捉え続けてて怖っ!ってなった。
・最近見た映画に共通して思うのは、『アクションシーンのすごさの肝は動きのダイナミックさや描画枚数の多さではなく、シュチュエーション設定なのかも』ということかもしれない。
・先に挙げた九龍城砦はまずあの舞台の時点で強いんだけど、アクションシーンごとに色んなシュチュエーション、それを生かしたアクションということをやっていた。この間見たゾンビランドサガ映画も、その舞台じゃないとできないわ!!っていうアクションシーンが際立っててめちゃくちゃ楽しかった。
・羅小黒戦記2は前作以上にアクションがすごいと感じた。実際アクションシーン自体が前作より多かった気がする。でもそれ以上にシュチュエーションがめちゃくちゃよかったなと思う。ムゲンのギャグみたいなアレはもちろんのこと、『MISSION:墜落寸前の飛行機をなんとかして着陸させろ!』の一連の流れも見応えあったし、追いかけっこ的な、所謂チェイスアクション?も面白かったし、ムゲンの顔になった敵をボコボコにしてゲラゲラ笑うみたいなのも、ギャグっぽいけど『シュチュエーションがめちゃくちゃ面白いアクション』だなと思った。
・『敵が親しい人の顔になって惑わせてくる』っていうのもあるあるなシュチュエーションではあるんだけど、その調理の仕方がよすぎてよすぎたな。そりゃアンタ、その顔が例えば守るべきか弱い小さな子供、とかだったら躊躇うかもしれないけど。最強で無敵で絶対に勝てないヤツの顔になったらアンタ、面白がってぶん殴るだろ。
・その後にムゲンの“アレ”があるのも含めて、『そりゃあムゲンと同じ顔したヤツがボコボコにされるシーンなんて面白いに決まってる。だって絶対見れない光景だもん。』ってなった。
・ルーイエ、基本仏頂面だけどあそこだけ爆笑してたのよすぎるよな。
・ルーイエ、1作目のあの感じの関係性に後から生えてくる姉弟子として絶妙なキャラだった。正直ここに女生やすだけで場合によっては嫌がる人もいそうな気がするんだけど、羅小黒っていい意味であんま性別が意味をなしてない作品なので、女だけどまあそれは別に。って感じなのが良い空気だな~。
・飛行機に乗るって言い出した段階で、『オイオイ、こういう映画で飛行機に乗って無事に離着陸することって無いのよ』と思って、実際その通りだったんだけど、それも織り込んで動いてました、ってすることによって逆に印象を下げてないのがなんかすごい。
・これで『まさか飛行機が襲われるなんて…』みたいな感じだったらルーイエがアホの子みたいになってしまうし(メタ予想がなくても作中で聡いキャラなら予想できるだろとなるため)いや、迂闊じゃねーかと突っ込みどころになって、『ストーリーに動かされてるキャラ』の印象になってしまうんだよね。
・飛行機が襲われることは予想してました、何かを成すためには犠牲も織り込まないといけません、でルーイエの好感度ラインは一旦下がるんだけど、でも何も知らずに襲撃されるよりは下がらないし(不思議だよね)、かつ、それでいて着陸させること自体には全力だったので、そこにルーイエという人格の絶妙さ(織り込むけど犠牲を抑えようとはするんだな)が見え、一旦小黒との別れにもなり、良いですね……
・なんというか、『プロットとしてこういう流れをやりたいんだろうな』はわかりつつ、でもキャラクターがそれに沿って『動かされている』という感じはしないように描けている、というのが本当に巧みだな~と思う。
・リンヤオの描き方も絶妙だった。短絡的なインターネットはああいうキャラに対して「罰しろ、報いを受けさせろ」となりがちなんだけど、羅小黒って悪いやつをぶっ飛ばして罪を精算させれば解決するタイプの作品ではないからね。そういう作風だったらムゲンはとっくの昔に死んでます。
・正解か不正解はそれが歴史になってからじゃないとわからない、というのは本当にそうで、そうだな~と思った。私は一作目のムゲンの「善悪がわかるか?」ってセリフがずっと印象に残っているのだけど、この作品が常に白黒ではなくグレーの部分を見ているのが良いところだなと。

