マンガのネームの方法論ってかなり人それぞれで面白いので、自分の流れを記録してみる。
私は趣味のマンガ描きで、普段は一次創作の長編マンガを描いています。二次創作でも短くまとめるのが苦手すぎて100ページ規模の同人誌ばかり出していたタイプ。
描くものが長くなりがち、かつ描きたいものが多いので、重要視するのは完成度よりも回転率。どれだけ工程を簡略化できるか…だと考えている。きっちりした美麗なマンガは、描けない。
というわけで、そんなマンガ描きのネームの流れは以下のような感じだ
①テキストで台割を作る

事前に書いていたプロット(自分の場合、発生する出来事の箇条書きのような形)を元に、セリフとト書きを書き出していく。
会話が主な場面であればセリフだけ、動きのある場面であれば動きに関する記述などが入る。
『・』でリスト形式にし、1コマ内に入る要素は一つのリスト中に記述していくようにしているが、実際にコマを割る時に全然変動する。あくまで目安である。
また、ページ切り替わりポイントには空行を入れている。見開き(めくった最初に来る右のページ)ポイントには印を。これも目安です。
使用アプリはNotionのブラウザ版。だけど特別Notionが良いかどうかは正直わからない。テキストしかないページであっても、数万字規模になると重くなることがあるので、「文字だけなのに重くなるな〜!!」と思う。環境などもあるかもしれないが。
とりあえず複数デバイスで同期して使えるメモアプリならなんでもいいと思う。スマホで文字ネームを打ってPCで流し込む、がスムーズにできるのはやはり便利。
②キャンバス上にテキストを流し込む

メモアプリで打ち込んでいたセリフテキストをCLIPSTUDIOに流し込む。この段階では細かい配置を考えずとにかく流し込んでおく。
流し込みについては、クリスタにはストーリーエディタ機能などもあるが自分はよくわかっていないので1セリフずつコピペしている。画面を大きく使えるPCならばそこまで手間ではない。(iPadなどの場合はわからないです)
③セリフを配置しなおす

ここからの作業はさながらパズルである。②で流し込んだセリフを、実際のコマ割りを意識しながら動かしていく。
この段階で、長めのセリフなどは分割して読みやすいように調整している。自分のスタンスとしては、マンガで長文を読ませるのは極力避けたいと思っている。自分が読む時怠いので。
表現として長文を用いる際は、読み飛ばしても問題ない構造を意識したり…しているつもり。
コマ割りの目安となる線は下書きレイヤー(青色)で引いている。これはコマ割りのラフのようなものなので厳密である必要はなく、セリフコピペついでにマウスでざっくり引いている。どれだけ雑でもかまわない。
この段階で、『テキストでは1ページに入る気がしていたが、“間”とか“見せゴマ大きく取る”とかを含めると1ページでは無理ンゴね』などが発生しがちなので、色々調整が発生しやすい。テキストネームの欠点は『必要な情報を書き出して満足しがちなところ』だと思っている。難しいよお。
④コマを割る

雑下書きを元に、コマ割りツールでコマを割る。コマ線の入れ方についても人それぞれかと思うが、自分は調整のしやすさからツールを使っている。
セリフをテキストツールで流し込んでいると、初期状態の基本枠コマレイヤー内に入る。そのままコマを割るとページ内全てのセリフが複製されてしまうので、コマ割り前に一旦全てのセリフをコマレイヤーから出している。
(これはコマ割り設定次第だと思う。自分はコマ割りレイヤーが分かれる設定で作業しているので。でも冷静に考えるとその設定でやる意味ってないかも)
コマ割りは基本セオリー通り、縦積みコマの隙間は広めに、横並びコマの隙間は狭めにしている。でもこれって要するに同じセクション纏まりを分かりやすくするってことだと思うので、↑のように『縦長コマの横に縦積みのコマがある時』は縦積みコマ同士の間隔を狭くしている。これはあくまで個人的なアレなので、セオリー的にどうかは微妙なところである。
また、この段階である程度テキスト調整も行なっている。↑ページではあまりないが、フォントを変えたり大きさを変えたりといった部分だ。細かい調整は後でもできるが、文字の大きさは先に決めておいた方がフキダシを書き込みやすい。
⑤フキダシを描き込む

見ての通り、フキダシを入れている。
知っている人は多いと思うが、セリフのテキストを分割しても同じレイヤー内であればフキダシは繋がって描画される。活用しよう。
どうでも良いけど、フキダシって『書き込む』『描き込む』どっちだと思いますか?私にはわかりません。
なんとなく文字は『書く』、絵は『描く』と使い分けているが、フキダシを入れるという行為はどちらとも微妙にズレている気がする。
⑥ラフっぽいのを入れる

ラフというかしたがきというか…なやつ。個人的な感覚に一番近いのは『メモ』かもしれない。
だいたいこのコマにはこういう絵が入るかな、というのをメモしていっている感じだ。前後のコマやページを参照しつつ。良い感じに引きのコマとアップのコマでバランスとりつつ……。
アップ以外の構図は引き出しにどれだけモノが入ってるかにかかっている。あと、フキダシの位置から逆算して決めるのも良いのかなって思う。
この工程が一番、一般的な『ネーム』という言葉に近いイメージかもしれない。

私の場合はこれを薄くして、そのまましたがきとして使う。この段階で実質作画作業に入っているという感覚がある。
ネーム→したがき→線画とする工程を1つ圧縮していると言え、これは非常に回転効率がよいです。その代わり丁寧な絵作りはできません。あと、プロ志望の作家さんなど、一旦他者のチェックを噛ませる必要がある場合も「どの段階で見せるねん」問題があるので微妙そう。
一人でやることの利点は確認工程をカットできる分最適化もしやすいということだ。欠点はちゃんとできてるか不安なまま進めないといけないこと。
⑦完成

この記事はネームの話がメインなので、ここの細かい工程は省きます。
ネーム的に言うと、セリフの位置などに多少調整が入っていたりする。3コマ目以降の「いや、確か〜」のところ。

調整前は「いや」「確か」を固めているが、調整後は「確か」「例の一族は」の方を固めている。これはなんというか……感覚です。言い淀む感じなら「確か」と「例の一族は」を離した方が“間を取ってる”感じが出るかなって思うが、このキャラ的には別に言い淀むようなことじゃないので、こっちかなー。
それと2コマ目、前項では「話を少し聞いたことはあるな」だったセリフを「少しばかり話に聞いたことはあるな」に変更している。これも……ニュアンスで、感覚です。なんとなく 文字数は増えちゃってるんでアレなんですけど、そのキャラっぽい言い回しはこっちか…?と…
こんな感じで、工程の最中に細かい調整修正を入れることが多い。最初のテキストネームはあくまで叩き台で、キャンバスに流し込みながら磨いていこうみたいな…そういう感じ。ここで好き勝手調整できるのも一人完結の利点かもですね。
ネームがガバいので人物の立ち位置左右が逆じゃね?みたいなところもあるけど、私は人物の立ち位置を完全整合させるよりセリフと絵の位置関係が読みやすい方がいいだろ派なので問題ないです。嘘です。この記事書きながら気付きました。直さないけど。
したがきをマトモにせず線画をざっくり描き込んでいってるので、描きながらオブジェクトのサイズが変になったりそういうことは無限に発生するが、我々デジタラーに許された革命的機能“変形”“再配置”でごまかしていきましょう。おかげでアナログ一髪描きパワーは一向に伸びないが、現状やりたいことを考えるとマンガを回転させる方が優先なのでよいでしょう。そういうことにします。
自分流ネームの作り方、こんな感じでした。
こう書き出してみると浮き彫りになりますね、自分が『一人でやってることを活かした最適化をしまくってる』ことが。これ、仮に担当編集や原作者のような人を噛ませないといけない場合やり方から変える必要がありそうすぎる。ちゃんと確認工程を挟める形に。まあ今のところそれが必要になる予定はないのですが。
もうここ十年くらいひたすらスピード量産向けにかなり最適化されている。俺屍プレイ並行創作をしすぎたせいかもしれない。俺屍の時は完全にラフなマンガだったけど、創作の場合は『印刷には耐えうる密度の中でどれだけ工程を圧縮するか』をやってる感じある。
趣味の個人完結型創作者で、長編とかページ数多い話描きたいけど、渾身の一作を仕上げるより回転率重視でやりたい場合は…多少、参考になるかも…しれません。
そんな感じです。ここまでお読みいただきありがとうございました。

