無職転生 2章まで読んだ雑感

この間話題に出した『小説投稿サイトでランキング一位を取らないと出られない部屋』が面白かったので、同作者が累計ランキング1位を取ったという転生小説を読み始めました。(現在は別の作品が累計1位になっていますが)

無職転生 - 異世界行ったら本気だす -
R15 残酷な描写あり 異世界転生
1544 | MFブックス
夢を持つことをあきらめない貴方へ——。オトナのエンターテインメントノベル。MFブックスの公式サイトです。

※今私が読んでるのは無料のなろう掲載版

おそらく普段からなろう小説に触れている方からしたら有名どころ中の有名どころだと思います。一応今年アニメ化するんでしたっけ…?極力ネタバレ踏みたくなくてアニメすら検索できてないんですよね…

大きなネタバレなしの雑感です。
普段なろう小説読まない、ラノベも何年も前に数える程度読んだくらい、文字作品あまり読まない、アニメばっかり見てるオタクの雑感なので有識者の方からしたら何言ってんだこいつ…って内容かもしれない。

このブログはトヤマというオタクの壁打ち隔離場所です。Twitterに置かない類の

 


 

無職転生、めっっっっっちゃ面白いな!?!?!?

なろう作品はアニメでしか見たことがなくて、その中で面白いな〜と思ったのはリゼロとか…ギャグだけどこのすばとかそこら辺でした。
ここ数年のトレンドらしい?成人男性・社畜などが転生して1から人生をやり直す系はなんだかイマイチ肌に合わなかったんですが、いやあ〜…無職転生 面白いな…

無職転生のあらすじはザックリ言えば『34歳住所不定無職キモオタデブニートがファンタジー異世界に転生、0歳の赤ん坊から人生2周目をスタートする話』です。
正直社畜が転生するアニメとか見てても、フィクションにまで社畜概念を持ち込むとダルいし、転生したショタキャラは無闇矢鱈にちやほやされて無双するし、でもこいつ社畜なんだよな…って頭にチラついたり…と、物語に没入できなくて脱落していました。
だから社畜よりも更にシビア、かつキモオタデブニートのクズが転生する話…それを読んで…果たして楽しいのか…?と思いながら読み始めたわけですが…ところがどっこい、面白いんだなあこれが…

34歳住所不定無職キモオタデブクズニート、転生先では『本気出す』という表題の通り、『何事も真面目に取り組んで、しっかり努力して、ひたむきに真剣に生きていく』のですが、そうなるまでの思考プロセスがものすごくしっかり描かれてるんですよね。
34歳住所不定無職キモオタデブクズニートという、おおよそ現代日本の社会構造目線では『必要とされない存在』であったということも転生先の主人公像に活きているというか…。

そして何より凄いのは、この話が転生して生まれた0歳児から始まる物語であるということです。
2歳、3歳、4歳…と、じっくり彼の2周目人生の歩みを追っていけるんですね。因みに今3章の途中ですがまだ10歳ちょいくらいです。
これがまだ全体の1/10行ってるかどうかくらいなので、多分ここから青年となり、大人になっていく…んだと思う。めちゃくちゃ楽しみだ…

そんな中、人生2周目かつ前世の後悔を目一杯抱えている主人公は2歳とか3歳とかから独学で魔術を勉強し始めて、使えるようになります。このあらすじだとまあ転生ものあるあるなんですが、やはりここも主人公目線の地の文によって細かいプロセスが提示されていてとにかく理論的というか、TUEEEのやつじゃん!!で終わらせない納得感がある。

ヒロインも何人か出てきました。私が読み進めた段階で『ああ、これはメインヒロインズだ…』と思ったキャラは今のところ3人。それぞれがしっかり主人公との出会い・打ち解ける経緯・双方に好意的感情が芽生える流れをめちゃくちゃ丁寧に描かれていて、自我があって…

なんだろう、TUEEEにしてもハーレム形成にしても、基本的には古典的なテンプレートに則っている話なのだけど、そのどれもが成立するまでに理屈やプロセスをガッチガチに固めていて…。なんだろう、作品と文章がテンプレートに対してとんでもなく真摯だ……という。

主人公も前世の後悔からめちゃくちゃひたむきで真面目で賢い少年として育っていくんですが、いかんせん前世がキモオタデブニートなので脳内ではちょいちょい俗っぽい邪念が過ぎったりします。エロいこととか大好きだし、ハーレム願望もあるんですね
でも、ここまで全てを真摯に描かれていると「まったくもーキモオタなんだから〜w」くらいの微笑ましい気持ちになるというか…
寧ろTUEEEすぎて完璧でそれなりにモテる人間の『隙』『人間味のある部分』として愛着湧くまであるんだよな…キモオタ面
因みにそのキモオタ面は内心に留めるか、異世界の住人に通じない程度しか表に出ません。笑

 


 

…で、ここまで考えてから思ったんですよ。これ、アニメとして初見で見て面白いと思えるのだろうか?と

アニメは限られた時間枠の中で動きと音を使って表現する媒体です。私が今感じている無職転生の面白さ(心理描写の丁寧さ、主人公目線で語られる心境や状況)とはすごく…すごく相性が悪いような気がしてしまう。

細かい地の文を削った無職転生は異世界俺TUEEEハーレムのテンプレ中のテンプレです。絵的に面白いところと言えば主人公が0歳から成長していく部分だろうか。その部分もアニメ的にどこまで端折らずに描けるのだろう。アニメには時間制限がある(過去のトヤマはその辺色々全く考慮せずに好きな作品のアニメ版批判しまくったりした)
まだ3章途中なのでこの物語の全貌も見えていない段階、この先アニメにしてもっと映える展開がたくさん待っている可能性もあるけど、0歳からじっくり成長していく主人公を楽しんだ者としてはここの段階や心理部分端折られると面白いのかどうかわからない…と思ってしまうんですね。

というようなことを考えると今度はこれまで見てきたなろう発転生アニメが頭を過るんですよ。イマイチ感情移入できなかったもの、主人公がモテてチヤホヤされたり、ハーレム要員に自我を感じなくて萎えた作品、俺何かやっちゃいました?エトセトラ…(文脈的に勘違いされそうなので一応補足すると俺何かやっちゃいました?の作品はハーレムではなく主ヒロ固定、サブキャラカプあり系の話です)
もしかしたらあれらの映像作品も原作の旨味汁あまり出てなかったりするのだろうか。地の文つきで主人公の考えとか、周辺人物の描写をしっかりされている状態ならもっと面白かったりするのかなあ。

あと媒体やカメラ位置による主人公への感情移入度の違いとかもあるんだろうな。
無職転生、私は読み始めた段階では主人公のビジュアルすら知らずに読んでいました。なので、地の文で元キモオタニートが必死に真っ当にひたむきに生きようとしている…という視点で、“内側から主人公の少年の動きを見ている”わけです。
これが映像媒体などの客観視点になると、『この可愛い少年主人公TUEEしてるけど中身はキモオタニートなんだよな…』になっちゃうんですよね。この微妙な違いが分かるだろうか…

これ、アニメで表現するの本当に難しいやつだと思うんだよな…。絶対的な尺という制限もあるし、モノローグを延々喋り続けるというのは作品媒体的に(一部例外を除き)不可能というか、ただの朗読劇になりかねないし

現在なろう累計ランキング1位の転スラとかもね、アニメは第一話~最初の山場的なところまでしか楽しめなかったんですが…累計1位だよ!?絶対こんなもんじゃないでしょ 多分原作の方が面白いんだろうなあ。
『原作の方が面白い』って『空が青い』くらい当たり前のことなんですけどね。だってその媒体の為に適した登場人物・展開・表現方法で生み出された物語なんだから。無論『アニメ作品としての落とし込みが凄まじく上手い』という作品も沢山沢山ありますが。

ただ、アニメって手軽に見れる分やっぱり認知度が高い媒体になると思います。私自身アニメでしか知らない作品が山ほどあるので
もし無職転生があまり原作の旨味を引き出せないアニメ化で終わった場合、私のようなアニオタ目線だと『有象無象のなろう転生テンプレ作品』で終わってしまうのだろうか。それはなんだか悲しいね まだ始まってもないですが。
ていうかいつからやるんだろう ネタバレ踏むのが怖くてググれてすらいない(展開バレというか、アニメのキービジュアルとかでまだ知らないキャラがいたりしたら嫌だな的な…)

ある程度成功、すると良いな…無職転生のアニメ…近い系統の話として本好きくらいやってくれれば…

ここまで打ってから確実にビジュアル的なバレを食らわないWikipediaの該当箇所だけを見たんですが(他項目は文字のバレになるから見ないように)、2020年予定っていうだけで放送時期もまだ未定っぽいんですね…?
そして『継続的・長期的・計画的なプロジェクトとして進める必要があるため…』みたいな感じで2社が協力して進める体制を整えているのだとか。はえ~…やっぱりなろうとしては超絶ビッグタイトルなんだな…全期間累計2位だもんな…
寧ろここまでアニメ化してなかったのが不思議なくらい。完結2015年ですよ

 


 

そういえば無職転生読んでると細かい部分で『これ別の転生アニメで見たことある流れかも』っていう描写がいくつか出てくるんですが、調べるとそれらの作品よりも連載開始が早いんですよね。(無職転生連載開始は2012年)
加えて、特にここ数年アニメ化される転生ものは子供時代から育っていくものをけっこう見る気がします(本好きの下克上とか)
分からないけど、転生ものの中で『この分類』では源流的な位置づけであったりするんだろうか?いや、もっと前に別の源流があるかもしれないですが。

それより前だと『転生もの』と言えば高校生くらいの主人公が死ぬなり転移するなりして、その姿で異世界に現れるイメージが強かった(なろうに限らずゲームやマンガ作品でも)けど
最近は社畜や人生やり直したい人が本当に人生二周目をやるような作品が多くなってきてるよな〜。これはよく言われるけど(当時高校生だったオタクが大人になってるから、とか)

ある程度知ってる人にはバレてるかもしれないけど、私はどちらかというと中高生くらいの主人公が好きだし、異世界転移ものでもやっぱり高校生がそのままの姿で転移する方が好みなんですが、そういう個人的な好みは置いておいて…やっぱりしっかり描かれているものの場合好み関係ないなあと思いました。そういうもんだよな

好みは関係ないと言いつつ、0歳からみっちりプロセスを描いて成長していって、これからおそらく大人になっていくであろう流れはめちゃくちゃ好みなんですけどね。
続編展開とかで当初予定になかった系の大人化を遂げる少年少女は萎える方だけど、物語として最初から織り込まれた少年少女の成長物語は最高大好きマンなので。成長、マジで楽しみ

無職転生は中身が34歳のオッサンではあるんだけど、元が社会性の無い、学生時代から時が止まってるような存在なので『元々成熟して社会で生活していた人』よりはずっと本質が少年的なんだな…。
確かに前世知識ありの人生二周目なんだけど、今度こそやり直すぞという気概のもと、じっくり色んな人と関わって、家族に愛されて、社会性を学んで…という風に進んでいくんですよ。彼に人生二周目としての強みがあるとすればそれは『一度失敗しているという記憶』なんだなあ。魔術の才能とかそういう表面的なものではなく、『齢2、3歳時点から理性的に人生や物ごとを思考できる』のが最大の強みだと思う。
だってその分他の人よりずっと多くの時間を努力や思考や勉強に使えるわけですから。その上で真面目のやればそりゃあTUEEにもなる

それでも元が社会性のない引きこもり童貞なので、たまに他人への踏み込み方ミスって死ぬほど反省したりね。そういうところがね、隙があって人間臭くて良いな…って思うんですよね キモオタヒキニート…。
でも人生やり直せるってなった時にこれくらい頑張れるなら魂は全然腐ってないし普通にめちゃくちゃえらい…実際それくらいの塩梅で描かれてると思う。

あとそんな主人公を取り巻く両親キャラも良い。子供想いで、でもまだ若く完璧な父母ではなくて、けっこうヤバいやらかしをしたりもする大人なんだけど(このやらかしは正直受け入れられるか人を選ぶと思う。私はちゃんと周囲が良くないことだと批難した上で向き合ったのでアリかなあと思った)
なんだかんだで色んな経験をしてきてる大人として子供を見ている…というのが…こう…
主人公は魔術がすごく得意だけど剣術では父親に全然敵わないんですよ。そういうところもすごい『父親キャラの存在』って感じで好きです。少年の物語における父親の大きな背中という古典的なやつ、マジで好き。

そして主人公と出会った幼い少女とかも主人公に合わせて年を取って、成長していくんだろうなあ。少年少女の成長譚じゃん…どういう展開になっていくかはまだ分からないけど…

完結までめちゃくちゃボリュームあるし、読める時間にじわじわ読んでる感じなのでいつ読み終えるのか、そもそもアニメが始まるまでに読み終われるのか定かじゃないですがゆっくり読んでいきたいです。