ゲーム『UNDERTALE』感想

5月初めくらいからやってたUNDERTALEをクリアしました。1ルートクリアしては1ヶ月ほど間を空け…というのを繰り返して今月3ルート終了。

リアルタイムのプレイ感想は以下から。強敵とのバトルの軌跡などはここで見てね

タグ「UNDERTALE」を含む投稿[61件] - トヤチョ
ひとりごと・軽めの感想やプレイメモをやる場所

 

感想どうやって書いていこうかな。ルートごと→全体って順でいく?当然ネタバレ全開です

 

Nルート

何も知らず初見で普通にプレイするとだいたい誘導通りに行き着くルート。適度に殺し、適度に仲良くもなる。

プレイヤーは『ある程度ベーシックなゲームをやっている層』を想定されている感があり、普通のRPGの感覚で襲ってくる敵を倒していくことについて序盤はあまり疑問を感じさせない→アンダインに詰められるあたりで「あれ…?」と思わせ、審判のサンズによって「ああ~~~~」と思わされる作りは見事だなあと思った。

一番最初にトリエルから「仲良くお話するのよ」的なこと言われるし、遺跡にいるフロギーからもモンスターは逃がせるということの解説が入るけど、やっぱ普通にゲームをやる感覚としては『じゃあ全員と戦わずにいよう』とは思いにくいよねえ。人によってはそう思う人もいるかもしれないけど。
だってそもそも襲ってくるし攻撃もしてくる相手全員と和解しようとは思いにくい、っていうのもあるかなあ。ここら辺の誘導が絶妙だと思った。

とはいえある程度殺してしまうのもプレイヤー的には仕方ないと、あまり極端に否定的には来ないところがまさに中立・ニュートラルなルートだよな~。

 

プレイヤーとしては自然と『じゃあ次の周回は誰も殺さない、っていうのを目指してみよう』って思えるし、なんかこう全体的に誘導が上手いというか、あくまである程度ゲームをやってる人ならこうするだろう、に持っていかせる作りが上手くてクゥ~ッ!ってなった。

プレイヤーはこの次に平和を目指すわけじゃん。何故目指すかというと『そうしたらどうなるかが気になったから』
平和を達成したプレイヤーの一部は更に思う訳じゃん。「じゃあ逆に全員ぶっ殺したらどうなるんだろう?」
(ここ、平和ルートは初見でもほとんどの人が思いそう、虐殺ルートは何も知らなければ思いつかない人もいるだろう、って塩梅なのが絶妙だよね)

何かを試すと応えてくれそうなゲームに対して、プレイヤーは興味と好奇心で頭を突っ込みに行く。アンダーテイルはそれに応えてくれるゲームで、しかしそれを見透かして問いかけてくるゲームでもある っていうところが唯一無二…だよなあ~~~。ストーリーはほぼ一本道なのに、これはプレイヤーとして体験した方が絶対に良いと思えてすごい。(もちろん全てのゲームは自分で体験してナンボなのだが)

 

そういえばゲームというジャンルが成熟するにつれてこういう『プレイヤーメタを巻き込んだようなゲームのやつ』がすごく増えたと思うけど、それってどの辺がきっかけだったんだろう?UNDERTALEってものすごい人気ゲームだしびっくりギミックがあるからこういうジャンルの走りだったりするのかな?わかんないけど

私は今現在ある程度『メタギミックジャンル』というものを認識してUNDERTALEをプレイしたので「あ、ああ~~そういうのね~~~!!」ってなったけど、本当にそういうジャンル認識のないゲームプレイヤーがいきなりこれを浴びたら脳みそシェイク度がめちゃくちゃすごそう。そもそもゲームが壊れたと思っちゃいそうだけど

UNDERTALE、よゐこのインディーゲー紹介動画でも出てたけど、キッズがこれいきなりやったら普通にゲームが壊れたと思っちゃいそう。いや今のキッズはなんだかんだググったりできるから大丈夫なのか

私はキッズ時代にラスボス倒した後ロードすると直前データから開始するのを見て「クリアしたのにできてない、このゲームはバグってる」って思ってたのでUNDERTALEやったらマジガチ素直に開発的にバグってブッ壊れたゲームだと認識しそう。

 

ちなみに1周目は割と迷いなくフラウィをぶち殺しました。

 

Nルートって中立って意味らしい?けど、それだけじゃなくプレイヤーの行動としてもフラットで、こうやって良いことも悪いこともあるのが自然な人の動きと思えるところにこそニュートラルさを感じるなー。

P・Gはどう足掻いても不自然な行動をするルートで、そこには『その世界で生きているキャラクターの行動』ではなく『プレイヤーという存在の意思・何が起こるか分かっている故の不自然な行動』が強く強く反映されることになる。こういうのは他のゲームをやり込む時にもよくあることだけど、そういう極端な攻略行為にツッコミを入れるゲーム内のキャラクターって基本的にいないんだよな。でも、UNDERTALEにはそれがある。すげー

あのさあUNDERTALEくん、アンタが応えてくれるからやりたくなっちゃうんだよ。わかってる?(何目線?)

 

Pルート

そういえばこれってサンズがリセット認識してることの示唆だったんだな。

 

しかしまあ行動が不自然とかプレイヤーメタ行動的にどうこうとか色々言ったけど、Pルートは純粋に楽しかったな。別に自分は全員が生き残って幸せであることにそこまで価値を置いているわけではないのだけど。

何が楽しかったかって、『1周目と同じシステムなのに全然違う遊び心地になり、全然知らなかったテキストがいっぱい出てくる』ところ!1周目はなんとなく撃退してたモンスターたちが実際はどんな性質なのか、何に歓び、何を求め、何に悲しむのか、普段何をして生きてるのか……なんかがありありと見えて、ウワーー!!なんて応えてくれるゲームなんだ!!と思った。こういう多面を知れるのが好きねん

情報が色々出てくるのもそうだし、ゲーム性としてもLv1の低体力のままヒィヒィ言いながらなんとか和解の手段を探るところが全然違ってめちゃくちゃ面白かった。別ゲーすぎる。

 

てがろぐの方でも書いたけど、この光景を最初に見た時が一番心が動かされたかも。UNDERTALEをプレイした中で。
1周目は知らなかった、このバーってこんなに賑やかだったんだ……ってビックリしたよ

 

スタート画面もいいよね……

しかし私Pルート8時間もやってたのか。元々Nルートよりやることが多い上、ED前に世界中のみんなのセリフが変わってるからそれを見て回ったりしてたらこうなってたらしい。

実質的なプレイ時間はGルートが一番長かったけど(多分15~20時間くらいかかった)、セーブデータのプレイ時間として残る時間が一番長いのはP、っていうのは面白いことだな~。リセットややり直しじゃない、行動と情報が一番濃いルートって感じで。

Gルートクリアして改めて思ったけど、本当に出すべき情報はPルートで概ね出てるし、色んなキャラのこと知ることもできたし、未来がどうなるかも見れるし、割と過不足ないんだよな。

もちろんGルートだからこそ見れたキャラの一面(パピルスの根っからの善性・サンズの真実・アンダインのどこまでも突き抜けた英雄性・その他状況によるキャラクターの在り方)はあるけど、それ以上に何かカタルシスのある真実が明かされるわけでもないし。

Pルートが『作品を好きになってくれた人へのお返し・サンキューフォープレイングが詰まった内容』とするなら、Gルートって『作品を掘り返したすぎたプレイヤーの業を突き付けるもの』って感じすぎてこう・・・・・・なんちゅールートを用意しとるんだ・・・・・・・それもこんな爽やかなPルートの後に…

 

Gルート

Pルートの後にGルートさせるの本当に性格が悪いんだけど、Gの後にPやったとてって感じなのでどっちにしろGルートはパンドラの箱なんだよな。(GやったデータでPやるとセリフ変わるらしいけどそれは見れてない)

Gルート、本当にプレイヤーの業だし、今までニンゲンだったはずの主人公が完全にバケモノ扱いされ始めるのは比喩というか、『ゲームプレイヤーというモンスター』みたいなニュアンスなのかなと思う。

高難度アクション要素を求めるタイプのプレイヤーからしてもGからが本番みたいなところあるだろうしな。応えてくれそうなら突っ込みに行きたくなる情報摂取モンスターであるプレイヤー・難しい敵と戦ってそれを打倒したいプレイヤーっていう化物を生み出すGルートマジ……なんちゅー構造だ……。

足るを知らないプレイヤーという名の化物を取り込むゴキブリホイホイみたいな…(ゴキブリホイホイて…)いや別にこのゲームはそういうプレイヤーを否定したいわけじゃないと思うけどね。Gルートも面白いし。

それでもこのルートにはエンディングらしいエンディングを用意せず、スタッフロールも流れず、タイトルも出ず終わってしまうのは『まあそういうことだよ』なメッセージを感じたかな…はー すごいゲームやってんな…

この辺はもう何をどう解釈するかは人それぞれに委ねられてるのかなって思うけど、私はやっぱ「とやちょ」=プレイヤーがバケモンになっちゃったってことなのかな~みたいなことを感じたな。鏡と会話してるみたいな。

そう考えると、Pルートの最後でいきなりみんなが主人公のことを『フリスク』って呼び始めたのはその分離感というか、ウーン、なんていうんだろう?

『フリスク』になった瞬間あの平和な世界から自分(プレイヤー)が切り離されたような感覚になり、プレイ中よりも俯瞰的になり、そしてリセットに手を伸ばしてしまう。みたいな構造に感じたかも。

 

総括?

分からんけどね。この辺もっと別の角度から考察とかしてる人山ほどいるんだろうけど、どちらかというと自分個人がどう感じたかが大事に思えたので。UNDERTALEは“ゲームをするプレイヤー”を化物に変えてしまう魔性のゲームで、いろんな要素や構造がそこに向かっていると感じました。私は。

だから細かな設定の整合性とか、真相とか真実とかよりも柱になっているのは『プレイヤーの在り方』で、そこに自分なりに考えることを見いだせたらそれで良いのかなと思った。

 

しかしやっぱりこのゲームの肝はGルートだよなあ。Gルートにはそんなにアッとなるような情報が詰まってるわけでもない、エンディングもない、ただ殺しに殺した後に残るのは虚無だけ。単純な『ストーリーの綺麗さ』で言うなら圧倒的にPルートの方が優れているし、『何も知らないで臨む人生的なゲーム体験』で言えばNルートの方が優れている。でもNルートとPルートだけならUNDERTALEというゲームはここまで歴史に名を刻むほどの存在にならなかった気がする。

Gルートという、もうどう足掻いてもどうしようもないルートがあるからこそ、ゲーム全体の『なんだかわからない凄み』が増し増しになっているというか……キツめの調味料みたい。Gルートって。NやPだけでも美味しいけどGがあると忘れられない味になる。そういうものなのかなと思った。すごいぜ

 

面白いゲーム体験だった。ゲームって本当にいいものですね。