徳甲一族 英霊の歌

マンガ描いたりしつつ俺屍Rをじっくりプレイする記録

一族あと語り / 13 石榴

1年越しの徳甲一族キャラ語り 第13回になります。
これ何?という方ははじめにを御覧ください。

石榴-沿革

 

火輪と石猿田衛門の娘

 

徳甲石榴には『覚悟』があった。

それは生まれつき持ち合わせた『才』だったかもしれないし、父にねだって手に入れた『贈り物』だったのかもしれない。

とにかく徳甲石榴は持っていた。

鬼と戦う覚悟を
一族の長になる覚悟を
真実を知る覚悟を
力を手にする覚悟を
仲間を利用する覚悟を

そして、悲願達成の道半ばで死ぬ『覚悟』を持っていた。

 

石榴はまず戦力を整えた。修行を重ね、先代を超えるだけの部隊を作り上げていくために。

術は苦手だが、体術に秀でたきらら
体術は苦手だが、術の才能に溢れた笹生

得意不得意がハッキリした仲間であったが、その分役割を与えることは容易で、寧ろ動かしやすいと感じた。
2人が同じ職である分、素早い連携も取り易い。

そして後方から戦況を見極め、指示を出してまとめ上げる司令塔…石榴自身がいる。

この隊であれば迷宮の親玉に挑むこともできるだろう。まずは手の内を把握している片羽ノお業や九尾吊りお紺を打倒し、奥地を探索しよう。

そして、ゆくゆくは朱点の言う『最奥に配置した髪』の正体を確かめる必要がある。

おそらく鬼であろう『それ』を倒すことができれば最良。正体を明かし、誰かが倒れようとその情報を次代に残すことが最低限…石榴はそう考えた。

 

道のりは順調だった。

片羽ノお業と対面した石榴は、彼女の言動により大きな情報を得た。やはり、我々一族は謀(はかりごと)から生まれたのだ。そう考えると納得がいく

 

迷宮探索に情報収集、どちらも大きく前に進んでいた。その上で、石榴は『未知の敵』に挑む前に交神で血を繋ぐことにした。

次代の子供たちの役目は『各地にいる親玉を打ち倒し、朱点に迫ること』になるだろう。
つまり力が必要だ。もちろん情報も、あればあるだけ良い。

双方を満たす男神は誰かー…その答えは考えるまでもなく自ずと明らかになった。

天界第四位。現在交神可能な男神に限定すれば最高位である火の神、雷王獅子丸

過去、徳甲一族が交神の儀を執り行った中で最高位の神よりも、更に三倍以上位が高い…圧倒的な力を持つ者だ。

石榴は迷わず彼の元へ向かった。その肩に強い矜持と覚悟を携えて。

 

 

数ヶ月の後、彼の助力もあり強き子を授かることができた。

そして朱点の用意した『髪』も、犠牲を出すことなく討ち倒した。石榴は考えうる中で最良の成果を挙げたのだ。

それから間も無くして、きららがこの世を去った。彼女は時折何か不満を漏らすことはあったが、髪討伐ではこれ以上ない働きを見せてくれた。彼女の功績は石榴の記す手記によって後世にも伝わるだろう。

 

 

 

だが…何か、引っ掛かりがあった。

石榴がその功績を褒めた時、きららは目線を逸らし、歯切れも悪く、すぐに石榴の前から立ち去ったことを覚えている。

体調を崩したきららを置いて子供たちと出陣する際、きららは笑っていた。だがそれは今までに見たことのない種の笑みであったような気がした。

 

 

不思議だ。きららが居なくなってから、きららのことが知りたくなった。
彼女が生きている頃は彼女が何を求め、何に一喜一憂しているかなど気に留めたことはなかったというのに。

そうなると、笹生が何を考えているかも気になり始めた。不思議な、不思議な感覚だった。

そしてその思考から連なるように、討伐に出した子どもたちのことも頭をよぎる。

成すべきことを成し、寿命が尽きるのを待つだけだったはずの石榴は、今まで考えたこともないようなことを沢山考えるようになっていた。

 

 

いよいよ石榴は衰弱して床に伏し、もう迎えを待つだけとなった。

石榴は夢の中で出会った友たちに礼を言う。もう、やり残したこともないだろう。おそらく、そうだと思うのだが。

しかし、夢の中の友は言った。旅立つにはまだ早いと
まだやり残したことがあるだろう?と

それは、きららを残し出陣したあの時聞けなかった「おかえり」ではないだろうか。生きて、子どもたちを迎えることではないだろうか。

教えるべきことは教えた。戦のことも、術の使い方も、当主としての心構えも。

伝えるべきことはもう残っていない。そう思っていた。

 

だが、初めての隊長の任を終え、装束も武器もどろどろにして帰ってきた息子を見ると、

 

「…着物はちゃんと日に当てて干すこと、鎧や刀の汚れはしっかりと落とすこと」

そんな、日々の些細な事柄に関する言葉と、

 

彼を出迎えるための 「おかえりなさい」 という言葉が、自然と口から出た。

 

それは、予め用意していたものではない。ただ、なんとなく言いたかっただけの言葉だ。こんな風に、目的も取り留めもないような言葉を紡ぐなんて、初めてのことだったかもしれない。

だけれど石榴は、何か胸のつかえが取れたような気がしたのだ。

 


石榴について

第二の初代かもしれないという話

石榴について『キャラ的に』語るにあたって、やっぱり欠かせないのは交神のことかなあ。

石榴が雷王獅子丸様と交神したことは『ゲーム的にも』後世に影響を与えていたんだけど、『キャラ的・補完創作全体的にも』同じくらい大きな影響を与えていたな…と思っています。

大きく分けると2つあって、

①早期の最高クラス神との交神によって氏神が生まれにくくなり、自動承認ルールでやっていたにも関わらず『最終氏神数3』という少なさだったこと。

②獅子丸遺伝子が氏神を経由して赤ライン・黄ラインに広がり、かつ代を経てもしぶとく残り続けたことで『彼らのキャライメージにかなり影響を与えた』こと。

こんな感じだろうか。

 

①氏神の数が制限された件について

これの要因はゲームの仕様なんですが、俺屍Rの氏神推挙の基準って確か『現在登録されている氏神よりも奉納点(裏表合わせた素質)が高ければ確定で氏神推挙・一定基準をクリアしているが低い場合は確率』だったと思います。

確率は3/8だったかな…(無印は超えていないと確実に氏神にはなれなかったはず)

早期に天界第三位の神の血を入れ、その血潮が戦死により真っ先に氏神化
(一人目)

後の雷丸&詠芽は氏神推挙なし(氏神ラインは超えてそうだけど、おそらく抽選で弾かれた?)

次に虫寄せ花乱の子である凪左助が氏神になり、更に氏神のハードルが上がる
(二人目)

赤・ばな奈・燕九朗・更紗と氏神抽選に弾かれ続ける

揚羽が氏神になる
(三人目)

こういう感じのはず。

例えば、もっと順当に少しずつ神様のランクを上げていく形でやっていた場合は相応な数の氏神が輩出されると思います。馬鈴薯とかがそうだったので(馬鈴薯は屍28人中10人氏神化してる)(羽出井は却下アリだったので比較しにくい)

~ここまではゲームの話~

~ここから創作サイドの話~

徳甲の一族創作的には最初から【氏神と生前の人は別人】という設定でやるつもりでいたので、一周目馬鈴薯みたくバンバン氏神を輩出していたら補完側のノリ相当変わってたんじゃないかと思うんですよね。

『徳甲一族の氏神』、外見や記憶こそ一族だけどほとんど『新しいキャラを存在させる』ような設定だったので。

馬鈴薯と同じペースなら6~8人は出てたんじゃないかなあ…氏神という名の新キャラが

数が少なかったからこそ、【血潮≠田力主(雷王の下で一族に助力)】・【半神虎≠凪左助(外界を断ちどこかへ消える)】・【大権現≠揚羽(チャラチャラちょっかいかける役)】という風に『それぞれ違う立ち位置で存在してる者たち』って感じにできたんですよね。

もしもっと人数いたら、『そんな数扱えんわい!』となってあまりちゃんと触れなかったと思う。(当然ながら生きている一族の方が重要なので)

 

②雷王遺伝子が氏神を通じて赤&黄ラインに広がり、キャライメージに影響を与えた件

ばな奈が田力主と交神したことで、黄色ラインにも赤ラインの血が入り込んだ話

この代表的なケースは『雷王のメンタルを継いでる揚羽と、継げてない小物っぽい更紗の対比』であったり、『カンストする“火神の心水”(揚羽・緋ノ丸が表出)』あたりだろうか。

それに、前半ではそうでもなかった『赤ライン・黄ラインの関係』が後半だとガッチガチに強くなっていったのも、何となく血を感じる気がするんですよね。『同じ血を持つ』ってやっぱり関係性のイメージに影響しやすいと言うか。

 

そんな感じで、『雷王遺伝子』が広がってキャラや関係イメージに反映されていたり、氏神誕生がレアケースになったり…というのが『徳甲一族後半戦の色』だと思ってるんですが、その遠因は他でもない『石榴の選択』なんですよねー。

もしあの時石榴が順当に1~2万くらいの神様を選んでいたら、徳甲一族後半は全く違うものになっていたと思います。血潮隊で紅蓮の祠の奥地を攻めなかった可能性すらあるし、氏神交神も無かったかもしれないので。

 

こう考えると、後半一族にとって石榴は大いなる母というか、初代のような存在感があるな…と思います。雷王遺伝子と関わりのない青緑組に限ってはそういうことはないんだけども。

石榴は間接的にではあるものの、ものすごく後半一族に影響を与えた人物…なんですが、まあこれって彼女自身の話かというと別にそうではないんですよね。巡り合わせの話だから

 

スケールの小さな女の子たち

上記のように、メタ的な俯瞰視点で構造を捉えた時の石榴は『準初代的存在感』というか、後世に絶大な影響を与えた超キーマンであることは断言できると思います。

そして一族史(キャラ目線)的にも『初の髪切りを成した人』という華々しくて大きな功績が残っている。
石榴の存在や影響って考えれば考えるほどかなりド派手です。

 

だけど、不思議と石榴の存在ってあまり派手さを感じないんですよね。

やっぱり人間的な面で見た時『後の代や京の町に派手な影響を与えた存在』はアヅキや火輪だなあって思っちゃうし、物語的に捉えた時『鮮烈に脳裏に焼き付いている存在』といえば血潮たちが最初に出てくるし。

石榴や石榴世代3人娘は割とどこを切っても『直接的に影響を与えている人たちではない』って感じがするし、個人個人を見るとすごく『スケールが小さい人たちの集まり』なんだよね。

 

この場合のスケールというと『めちゃくちゃ目立つ』とか『壮大に物事を捉えられる』とか『誰かや何かに対する強い思いや執着』、『鮮烈な出来事』『目に見えてわかるほどの成長や大きな変化』『ヒーロー・ヒロイン性』この辺りのどれかを持っている人のことです。

『思考や行動の範囲が広くて大きい』以外でも『何か突き抜けたもの』があると「スケール大きいな」って思うので、アヅキや火輪・血潮・赤世代や緋ノ丸・まつり姉さんみたいな人たちはマジでスケールがでけえ〜と思ってます。

あくまで抽象的な『私の感じ方』の話ではあるのですが。

 

石榴世代、本当にスケールが小さいんだよね。

笹生もきららも、ものすごく個人的な・手が届くくらいの半径の中で何かを考え、行動してきた人だったし。

石榴は行動の大胆さや考えの極端さを見るとめちゃくちゃスケール大きい人だけど、同世代の二人との関係に注視するとずっと微妙な雰囲気で。

そんな関係が大きく変わるような事件が起こるでもなかった。

最後に少しだけ変化があって、でもやっぱり彼女ら自身に大きな影響があったわけでもなく静かに幕を閉じる…というのが、すごく小さく纏まっていて私は『石榴世代らしい』なあって思っています。

『きららや笹生のことがちょっと知りたくなる』というのは石榴比ではかなり大きな変化ではあるんだけど、でも俯瞰的に見ると小さな出来事とも言えるし。

 

見た目も性格も派手派手の派手だった火輪世代の後だったのもあるけど、スケール小さめ・仲もそんなに良くない(不仲ってほどでもないけど)・大きな衝突もなければ、強いカタルシスなんかも存在しないナチュラルさ。

この辺りが石榴を始めとした石榴世代『らしさ』って感じで私は好きだなあ…と振り返って思いました。

 

なんというか、私がどちらかと言うと『繊細な機微の物語』よりも『誇張してナンボな派手作品(ホビアニや少年マンガなど)』で形成されたオタクだからか、俺屍での自一族解釈は割と『誇張・派手目』になりがちなんじゃないかと感じているんですが

ゆえに人間同士の『スケールの小さい細やかな関係描写や息づかい』を描くのはかなり不得手意識があって、だから石榴世代の終盤補完創作は徳甲一族全体通して一番悩んで頭抱えたな…ということを覚えています。

すごい頭抱えて捻り出した結晶(?)が、ここの笹生と石榴の会話だったかもなあ

この笹生の台詞好き。これは多分嫌味とか攻撃ではなく…というか石榴相手なら『そういう意味合い』にはならないことを理解した上での言葉な気がする。

ていうか笹生はきららのことも、どちらかというと若干苦手寄りだよな。決して嫌いではないけどね。「相性悪いよな~笑」みたいな感覚持ってると思う。

 

この辺の関係や相手への感情見ても、なんか絶妙に割り切れないんだよね石榴世代の3人って

ちょうど良い公約数が見当たらない組み合わせなんだと思います。それはそれですごく『わかる、あるよなそういうの』ってなる感じの…

だってたまたま同じ世代で生まれただけの3人が、パズルのピースがハマるようにカチっとプリキュアになれるわけじゃないよな、と。…まあそういう運命的な世代もあるんだけど、そうじゃないところが石榴世代の魅力だなあと私は思っています。

 

ちょっとだけ完結記念アンケの話なんですが(順位とかは分からない程度のふわっとした触れ方をします)

私は彼女らのそういう『極端さがなく、本当に偶々同じ世代に集ってただけ』感好きです。

…好きだけど、やっぱり他の世代に比べると地味なのかな…?とか、私は『スケールの小さい、割り切れない女の子たち』をちゃんと描けていたのだろうか?みたいな不安がちょっとありました。

でも、蓋を開いてみたら想像よりも世代票入れてもらえててなんだかすごく嬉しかったです。(勿論どの世代への投票も甲乙つけ難いほど嬉しいんですが、ちょっとベクトルの違う嬉しさがあると言いますか)

この世代の締め方が徳甲一族全体通して一番悩んだ、所謂難産状態だったので余計にね…ありがとうございました。


次回(詠芽)▶︎3/13更新予定

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