マンガ『鬼滅の刃』感想まとめ

てがろぐで書いた感想をまとめておくだけの記事です。

2年くらい前に読み始めてたんですが、10巻くらいで読み止まったり再開したり止まったりしてたので改めて1巻から読み返して最後まで読んだぞ~~!!!!読み止まってたところ以降くらいから爆発的に面白くなってギャ~~!!!ってなってた

 

以下断片的な感想いろいろを並べてるだけ

禰豆子のデザインについて

超絶ヒット作だから5億人くらい同じこと言ってるんだろうけど、禰豆子のデザインってマ~~~~ジで良いよな……良いというか超凄いと言うか
可愛い外見・映える装飾を持つキャラクターはいくらでもいるけど、禰豆子は『境遇や設定に限りなくマッチした上でめちゃくちゃ可愛いデザイン』なところが見るたびにスゲエ…ってなる

裕福でなかったり戦いに身を置いていたり、オシャレするのが難しそうな境遇のキャラクターがめっちゃ可愛い外見だとちょっとした違和感みたいなものはあって(でも完全に境遇に合わせて地味にするのはフィクション的に微妙なので“フィクションのウソ”としてそういうデザインは決して嫌いじゃないというか寧ろ肯定派ではある)

禰豆子の場合、裕福ではない暮らしの中で身に着けていても違和感のない衣類と着こなし+鬼になった時の変化とパーツのかけ合わせが恐ろしいほど可愛くてすごい……可愛いのに設定にも完璧にマッチしてるの 神業
さらに籠や箱に収まった時の見た目もえげつないくらい可愛いし、可愛い一方で戦闘になった時のフォルム(特に足周り)がメチャクチャ映えるし、すごすぎてすご!!!!!!!!ってなる 禰豆子のキャラデザまじで凄い 唯一無二すぎる

 

 

読み返し途中

鬼滅読み返しててジャリボーイたちが揃うとこまで来た
マンガでもゲームアニメでも今も昔もなんでもそうだけど、キャラが徐々に増えてきてそれによる役者の揃いによって話の面白さがちょっとずつ加速していくあの段階がめちゃくちゃ好きだな。キャラクターとストーリーは同義語だよ(極論)

なんでもそうだけどキャラクター描写とストーリー展開が丁寧な段階を踏んでるものは面白い本当に

 

 

~15巻まで

こういう作品ってやっぱり登場人物増えて戦いや修行にバリエーション増えてくると楽しさ加速するなあ。富岡義勇んとこのコミュニケーションがクッソズレてるのまじで面白い。コミュニケーションがズレてる描写、かなり好き
色んな人の過去とかが見えてきて人物像に厚みが出てくるのたのし~ やっぱり人間や関係が見えると楽しくなっちゃう オタクだから

でもバトルの緩急の付け方もすごく上手だよな~。陸戦はメチャクチャ長いけどここまでやってこその勝利って感じするし、その後の戦いだとメチャクチャ大変ながら倒す時は一瞬、みたいなバトルもあったりして。多分長いバトルだけでも短いバトルだけでもあまり面白くなくて、うねるような緩急が大事なんだろうなあとか思った。それに色んなキャラが増えて絡んでくるのも合わせてすごくワクワクする

(最近はあんまり読めてなかったけど)ジャンプ系のマンガやアニメ見てると『歯ごたえのあるバトル話』の作り方の伝統とか蓄積されたノウハウみたいなものを何かすごい感じてウオ~~~やべ~~ってなる~。
『こんなんどうやって倒すんだよ・・・・・・・』って感じの敵が出てきて、主人公側はその敵を倒すために意地と工夫の限りを尽くして、でも敵はさらにその上をいって!ならば更に!!…っていう繰り返しの末に決着を見るやつ。もう絶対納得できる“勝利”を描けるまで戦いは終わらねえぞ!!って感じのやつ。その結果毎回炭次郎や仲間たちがボロッカスになってるのがマジで死闘って感じで面白い
組み立てるのめちゃ大変そう

しかし味方側にしても鬼側にしても、最初は人でなしのやべーやつだと思ってもなんやかんやで共感・シンパシーを呼びそうな過去がある感じメチャクチャ道義的な作品だなあ。鬼も柱の人らも
ぎょっことかあの辺の鬼は普通にクズっぽいけど。なんかこう全く話できなそうなヤツは話できなそうな外見しがちだよね。交わることのない不倶戴天さが形に現れてる

でもこれ多分無惨だけは見た目綺麗目でもガチの極めつけの“悪”なんだろうな…?いやまだ分からんけど。鬼滅の刃、なんだかんだでものすごく人道や正義の話だと感じることが多いので、ラスボスは対極に位置する存在でないといけないのかなあと どうなんでしょう

 


 

鬼滅15~16巻で話の大筋がゴリっと動いてうねりをあげてくる感じ楽しすぎる…相変わらず緩急もめちゃくちゃ効いてるし
そしてこの『思いは不滅である』っていうのがこの話全体のテーマなんだなあ。

 

 

余談

鬼滅の話とはちょっと違うけど後の感想に繋がるので格納しておく


 

以下はマジで全部私個人の感じ方なので『コイツ個人の感じ方考え方の話なんだなあ』と思って読んでね

どれだけグロい描写があっても、キツい現実を描いていても、取り返しのつかない不幸や哀しみをぶつけてきても、『受け手が素直に幸せを願って良い、素直に共感して良い』ように作られている作品を見ると『優しい作品』だなあって思うんだよね。鬼滅ってマジでこれなんだよな マジでものすごく優しい作品だと思う

同じように不幸やキツい境遇などを描いてても『幸せになってほしいって思うのはなんか違くね?これに共感したり幸せを願うことってメチャクチャエゴなのでは…』とか色々考えてしまう作品は『ちょっと意地悪な作品』だなあと思う。最近見たのだとガンスリとかこっち寄りに感じた
まあ私そういう意地悪な作品大好きなんですけどね

『幸せを願っても良いか否か』なんて規則はどこにも書かれてないし、感じ方や思い方は受け手の自由なので作者だって決めることはできないし、マジでマジでこれは『私個人がそう感じる』ってだけの話ね!

 

 

童磨とか

鬼滅の刃って作品の性質と合わせて童磨の落としどころ好きすぎるな

 

マジで第一印象悪めのキャラも残虐非道な鬼も、話できそうなタイプは皆それぞれのバックグラウンドを持っていて、ああそうかこの鬼にもこんな過去があったんだな…が次々繰り出されるわけだけど、何がすごいってその描写に嘘くささが全くないところだよな~~~・・・こういうのを描き切れるってすごいことやよ

割とこう揶揄されがちじゃん『悪いやつにも悲しい過去があるんだ』っていう展開って。悪いことしたやつに同情ポイントなんていらねえ!ワルはワルであればいいんだよ!っていう極論を言うオタクいるやん
鬼滅ってマジで『悪役や性格悪そうなヤツにも悲しい過去がある』をずっっっっっっっっっとやってるんだけど、なんかもうそのバックグラウンド描写の濃厚さと説得力と作品の全体テーマとの絡み合いによってケチのつけようがない『悪いヤツにも悲しい過去がある』をやってて、なんだろう、強い すごく すごく強い

鬼滅の刃という作品、例えるなら霊長類最強の肉体を持ってるスーパーマンが誰よりも他人を慈しめる優しい心を同時に持ってたみたいな感じ どんな例えだよ
描写力伝達力という最強の”””””力”””””で優しく読者を包み込んでくれている

とは言え普通に悲しい過去もクソもないような悪役もいるし、その辺りのバランスも絶妙だな~…と思う。主人公やつらめ過去持ちの鬼たちが体現する『人道』や『善』が嘘くさくならないような組み立てがめちゃくちゃ巧みですごい。いろんなヤツがいてすごい

だから私は童磨の落としどころがマジで良いなと思った。これを描ける作品なんだよ すげえよ・・・
童磨マジでオチの付け方が百億点満点じゃないか!?!?!?!?すごい!!!!!!!!

端的に表せば『人間らしい感情を何も持ってなかった悪に生まれて初めて感情が芽生えた、それは恋だった』じゃん。こういう風に要約するとメチャクチャ人道的で善性に溢れた感動的な話みたいなんだけど、実際はそういうのじゃないじゃん。とっととくたばれ糞野郎のシーンなわけじゃん。すごい!!!すごいすごいすごい!!!!鬼滅の刃すごい!!!!!!!!!あんなに人道と善が描けるのに童磨みたいなのも描けるとか反則だろ!!!!!すごい!!!!!!!!!!!!!!!強い!!!!!!!!!!!!!

『童磨という存在を描ける鬼滅の刃さん』って話してる時だけ肌がテカテカしてる感じするし強いロボットを語るオタクのテンションになっちゃう

 

 

上弦の壱

兄より優れた弟、っていうのもこれだけ言えばベタな感じに聞こえるんだけどマジでもうこれでもかってくらい目一杯に練り込まれた描写と精巧に組み立てられた構造をさあ……すげえよ……

コクシボウとヨリイチ、登場時から色々ブラフやミスリード張られてたのが印象的だったなあ。
『上弦の壱』の後ろ姿が出てきた時は、日の呼吸の話題が出てたくらい?で炭治郎の父親が絡んでる?みたいなタイミングだったから『あれ壱が親父っていう展開!?』って思った記憶ある。全然違った
ヨリイチ人形が出てきた時も『あっこの人の元になった剣士が上限の壱!?』って思ったな。全然違った笑
多分この辺は狙って描かれてるんだろうな

上弦の壱の顔が出た瞬間のビックリ感、あれがそのまま彼の本質部分に繋がってて、そういう描写もうめえ~~~~~!!!って感じすぎるな~~~~~・・・
最初得体の知れないめちゃくちゃ人知を超越したっぽい存在に見えた上弦の壱がどんどん人間に見えてくる感じ本当に良い。最初は同じ顔にしか見えなかった巌勝と縁壱ももう完全に違う顔にしか見えなくなったもん。
描写の積み重ねとバックグラウンド提示によって、記号だったキャラクターに肉がついて厚みができて全体像が見えてきて、完全に固有の存在に見えてくるやつ。これを浴びるためにオタクをやってると言っても過言ではない

日の呼吸に対する月の呼吸、これもベタなんだけどこれ以上ないくらいあの兄弟を表してたな~~~すごいな~~すごい・・・

ていうかヨリイチの描き方がすごく印象的で良いなあ。
初登場は人形の姿で、その次は死にかけの老人、その後青年時代の姿が出て、子供時代が描かれて…っていう順番でどんどん過去に遡って描写されてるのがすごく面白い。例えるなら地層を上から掘っていくみたいな感じの過去描写?

でも子供時代まで遡った後は折り返してまた青年時代が描かれて、最後に描かれたそこが兄弟が分かたれるターニングポイントなんだよなあ。構成が~~~~~~~構成が上手すぎる~~~~~~~上手すぎる~~~~~~~~~~~~~巧すぎる・・・・・・・・・・・・・・・

時系列が入れ替わる回想や過去描写ってパズルのピースみたいなものだと思ってて、素直に昔から順番に見せた方が分かりやすい時もあれば、組み替えて一番効果的な順番で見せた方が良い場合もある…と思うんだけど、後者の場合時系列が前後しまくるから分かりやすく読者に伝えるのってすっっっっごく大変だと思う。吾峠先生すごいよ~~~~~~~~~~!!!!!!!

 


 

追記

コクシボウ目線の縁壱を散々描いて神格化しまくった後に縁壱視点の回想もやるの最高すぎる~~~
人間にはいろんな面があり、視点が違えば見えるものや感じるものが全然違うヤツ 大好き~~~

 

 

最終決戦について

ツイッターかどこかで『鬼滅は“毒”が強いところが好き』っていう感想を見たことがあるんだけど、本当にそう思うなあ。毒ってやっぱどちらかというと敵側の手段・卑劣なイメージの強い戦い方だし(鬼滅においては当然のように鬼側も使ってくるんだけど)

『そういう手段を主人公サイドが使って最強の敵を倒しに行く』っていうのは、マジで普通に戦ったんじゃどうしようもない敵を相手にしているっていう実感がメチャクチャ沸いてマジで良かったな…何百年も戦い続けてノウハウを蓄積して、当主が身内もろとも自爆して、あらゆる手段を講じて、名前出ない隊員からメチャクチャ強い柱たちまで尋常じゃ無い人数犠牲にしないと倒せない相手なんだよ鬼舞辻無惨。無惨がマジで強いの本当に最高すぎる…

そして無惨を倒すために打った手がすごい!!!!すごいんだよな~~~~!!!ラスボスを倒すために弱体化させるっていうの!!!すごい!!!!すごい・・・
主人公が果てしなくパワーアップして殴りに行って誰かが英雄になるお話じゃないんだよな鬼滅の刃。普通に戦ったんじゃ束になっても絶対敵わないやべーやつを相手にしてるわけだから、マジで手段は選んでられないし、毒だって使うし、『敵を弱体化させることによってアドバンテージを得る』っていう戦い方だってする。そうしないと無惨は倒せない 無惨 無惨強い 無惨強すぎて最高

単純な描写や言動だけじゃなく、『主人公サイドがどういう戦い方で挑んでるか』に無惨のとんでもない次元の違う強さが表れててマジですごい。これ、ゲームとかだとできないラスボスの描き方って感じでマジで良いなあ。アニメやマンガじゃないとできないラスボス表現だと思う。多分 デバフかけてラスボス倒すゲームもあるだろうけど

そう デバフが強いんだよな鬼滅って……骨の髄まで俺屍プレイヤーだから(俺屍はバフ技がクソほど強くてデバフ技はみそっかす)デバフが強い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ってはしゃいだ(?)

そもそも上弦の時点でつえーんだよなマジで。上弦を柱二人以上で相手してあんなに大変なんだから正攻法や気合いで無惨に勝てるわけがない。鬼滅、敵が強くて最高・・・・・・・・・・・マジで強さの説得力がエグい
マジでここまでしてもう全てのリソースを投入して柱が2人しか生き残らないくらいまですり減ってやっと倒せる無惨の強さすごいよ~~・・・・ラスボスの強さの描き方がすごすぎる すごい すごい・・・・・・・・・・・・

『誰一人欠けても倒せなかった』って書かれてたけど本当に本当にそう思うし、そう思えるように描写されてるのがすごすぎてすごい

 

 

無惨の最期

無惨の最期狂おしいほど好き。ああいう存在が最後赤ん坊のような外見になって足掻くっていうのも好きだし、

想いこそが永遠であり不滅 確かにそうだった
殺した人間など誰一人覚えていない
肉体は死ねば終わり

だがどうだ
想いは受け継がれ決して滅びず
この私すらも打ち負かしたのだ

私はその事実を目の当たりにし
感動して震えた

改心ブラフが上手すぎる・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここ読んだ瞬間の「え!?無惨ってそういうオチになるの!?」からの「無惨テメーーーーーーーーーーッ!!!!!!」ってなる感じ!!!!!!サイコーーーーーーに読者心理を操られててウオオオオオオ!!!!!!!!!鬼滅の刃すげえええ!!!!になった すげえ すげえな・・・・

童磨もそうなんだけど、主人公サイドの強い想いによって心や価値観が揺らぐ→でも単純な改心や和解には至らないほど相容れない感性であることが明示される っていう描写がマジで凄いと思う鬼滅。すごいなあ……

無惨が鬼殺隊の在り方に感化されて『不滅』の定義を改めた。改めた結果『他者を信じて自分の夢を託すことを考える』、でもそれは鬼である無惨の独り善がりな想い・押し付けがましい想いだ。無惨の思い違い、それは夢や想いを託すという行為ではないし、不滅のものなんかじゃない。お前はなーんも分かってない
……そういうことを描くためのクライマックスのもうヒト押し的展開。これが真の意味で無惨を倒すということなんだと思う

すごすぎるなあ鬼滅……無惨ぶったおしてENDってワケじゃないこのヒト押しがすごすぎる・・・・テーマ性の描き方があまりにも丁寧 私はその事実を目の当たりにし感動して震えた

 

 

ゲキアツポイントの話

最終決戦は戦えるありとあらゆる人たちが集まって色んな場所で戦闘が発生して群像劇的に展開していったけど、最初に無惨の元に辿り着くのが炭治郎と義勇、最初に出会った二人っていうのがメチャクチャ美しくて好きだなあ。

義勇って別にものすごく特別な存在ってワケじゃないし、呼吸もレアじゃないし、バックグラウンドも多分他の隊員たちに比べると突出して異質ってワケでもない。第一印象程ミステリアスな人じゃないし、というかメチャクチャぽにゃだし、コミュニケーション下手クソだし、人並みに不器用で人一倍ひたむきな………“普通の人”って感じだよね。何をもってして“普通”とするのか難しいところではあるけど(柱になるくらいの人を普通と言って良いのかとか)

そんな義勇があのポジションにいること、マジで好きだな~~~。炭治郎の刀を一緒に握るシーンま~~~じで好き ああこの人との出会いから始まったんだな・・・って思って超グっときた

そして柱たちが倒れていく中最後まで無惨に立ち向かい、鬼化した炭治郎を止めようと戦い続けたのが善逸と伊之助っていうのもさ~~~王道だよね・・・・・・・緻密に計算されて組み立てられたメチャメチャ壮大な戦いの中でこの二人の存在が・・・・良すぎる・・・・・・・マジで“仲間”って感じ・・・・・・・

ていうか善逸が眠ると強くなる設定無くなってたけど、絶対に倒さなければいけない兄弟子との戦いで覚醒して普通に戦えるようになった的な解釈で良いんだよね?多分

カナヲも良いよな~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~・・・カナヲは善逸伊之助と違って背中合わせて戦ってきた仲間って感じではないし物語全体のヒロインではないけど、炭治郎の影響で変わっていった女の子で~~そんな彼女の最後の役目がああいうものなの、そうだよ・・・・・・・・・・・って感じですごい・・・すごいなあ 鬼滅の刃・・・
ていうか初期カナヲの意志薄弱な感じと童磨って対比だよな~あの対比好き

炭治郎を止める時に動けたキャラが『禰豆子・善逸・伊之助・カナヲ・義勇』なの、マジで鬼滅の刃って作品の集大成を感じる すごい…なんかこの5人の名前の並び見るだけで涙出てくる(ガチ)

 

 

竈門炭治郎という主人公の構造の話

こういうバトル系作品において『主人公が特別な力を持っている理由付け』って色々あると思うんだけど、炭治郎のそれマジで好きだな~~。
ヒノカミ神楽の話が出てきた時に思ったことを正直に言えば『あ、結局血縁かあ。田舎の少年だけど結局特別な血統系かあ』だったんだけど、違うんだよな~~~^^^^わかってねえなあ当時のトヤマくん^^^;;;トヤマは本当にばかだなあ。
理由付けをそこだけに留めず練り込んで練り込んで説得力のあるバックグラウンド構造を作り出すこの感じ、マジで鬼滅の刃だったなあ・・・・お得意のやつだ・・・

縁壱が編み出した日の呼吸は当時多くの鬼狩りたちに伝授されたけど、縁壱の存在を極めて危険視していた無惨が彼の死後呼吸の使い手を一人残らずブチ殺した→(日の呼吸を教えられていたけど)鬼狩りでもなくただの“舞”として子孫に伝え続けていた竈門家のそれだけが生き残っていた→だから炭治郎が日の呼吸を扱えた・・・っていう、この、この構造 すごい 説得力がエグい。何故失われて、何故残っていたのかの理由付けが完璧すぎる。すごい・・・

竈門家は縁壱の旧邸に住んでた、っていうのも良いよなあ。めちゃくちゃしっくりくる出会い方だ…
それだけじゃなく、竈門家の人達が優しくてあたたかだったからこそ縁壱とも仲良くなれたわけで、日の呼吸が残存できた一番の理由を挙げるなら『竈門家の人達が優しかったから』なんだろうなあ。そしてそれが炭治郎という存在や彼の強い善性にも説得力を持たせている マジですげえ~~~・・・・・

ただ特別な血統でしただけでは絶対済ませない・・・・・・・・ありとあらゆる因果や人の想いが紡がれた果てに今の炭治郎が在る。それが作品の全体テーマの体現にもなっている すごいなあ・・・

 

 

甘露寺と伊黒

甘露寺と伊黒の関係思ってた以上にマジで良かったし、『その人が心の底から必要だと感じる存在に巡り合えた奇跡』のやつで普通にメッショメショに泣いちゃった。私こういうのに弱すぎるだろもう絶対泣くじゃん

甘露寺ってもう最初からずっとちょっとアホでコミカルでハッピーで面白い人って感じだし、それが甘露寺の本質であり強さでもあるんだろうな~~と思いながら読んでたんだけど、そんな鬼殺隊っぽくない柱っぽくない彼女だからこそ救われていた存在~~~~~~・・・・・・・語彙が出て来ねえよ 助けてー

伊黒から甘露寺への矢印はずっと出てたし、甘露寺はずっと恋したがってるの分かってるのに伊黒は何をしてるんだって思ってたんだけどその理由も成程な~~~~~~…という感じで、本当になんというか鬼滅の刃という作品……記号や属性だけならベタでありふれたものに対して無二のバックグラウンドを付与して説得力を持たせるのが上手すぎるなあ……

多分さ~~甘露寺に対して『何ヘラヘラ笑ってるんだ』みたいな感情を持ってる隊員もいると思うんだよね~~それも多分自然なことで、でも伊黒という人にとっては彼女のそういう性質こそが救済なんだ~~みたいなの、この、全然違う性質のパズルのピースが奇跡的にはまるような巡り合わせ これ これなんだよ~~~~~ きみらの巡り合わせに乾杯・・・・完敗でございます

甘露寺の明るさや素直さや優しさに対して、『美しい』と感じた伊黒の感性が好きだなあ。他者の在り方や内面に対して『美しい』っていう感覚を持てる感じ?がすごく好き すごく美しいことだと思う

 

 

最終回の話

流石に話題になってたからふんわりとどういう感じになるかは知ってて
う~~~んそういうオチはあんま好きじゃなさそうなんだよな~~~…と薄っすら思いつつ読んでたんだけど、しっかり1から最後まで読み切ると作品の全体テーマや作品内の文章表現・コメントなどから滲み出る作者の姿勢などと合わせてものすごくしっくりくる『子孫・来世オチ』で驚いたなあ。こんなにしっくりくる子孫来世オチあるんだ……と思った。

千年に渡る戦いの中でずっと昔の人から最近亡くなった人まで、色んな人から受け継がれてきた想い・想いの記憶という描写・無惨を倒すということは『これ以上奪われないようにすること』『未来を手に入れること』・大切な人が幸せに暮らして天寿を全うすることを願うこと、そういうものの積み重ねをずっと描いてきてるわけで、そんな作品の締めくくりが『子孫・来世オチ』……『炭治郎たちが勝ち取った未来を描く最終回』なのはマジでこれ以上ないほどに順当なんだよなあ。

オタクとしての私の考え方はちょっと無惨や童磨に近いところもあって、『死んだらそこで終わり(そうであってほしい)』っていうタイプなんだけど、なんかねーーここまでしっかりと『死んだ後に繋がる世界』をガチで描かれたら納得しないわけがないじゃないですかーーという感じで凄い。すごいなあ……
私が理解できなかった『来世オチ』をここまで納得できるように描けるのマジでエグいしすごいよ~…。マジでここまでテーマ性を一貫させて来世・子孫オチされたら理解せざるを得ない(そういうオチが好きになるかどうかは別として、理屈が理解できると受け皿ができるというか)

何よりやっぱり鬼滅の刃っていう作品、『幸せを願うこと』を赦してくれてるんだよなあ。ずっと感じながら読んでたけど本当に優しい作品だと思う。作者の優しい手に包み込まれている
こんなにもグロい見た目で人がバタバタ死んでいく作品なのに、作者やモノローグの語り口はまるで子供にゆったり語り掛けるような児童文学を読んでいるかのような感触なの、これが鬼滅の刃の色なんだろうなあ。

 

 

鬼滅の“エンドロール”

最終話の一番最後のくだりが本当に好きで、各コマでの優しい語り掛けは対応するキャラクターに対するもののようであり、その実、すべては『この物語を読んでくれた人』に向ける言葉である。というところがマジで凄いな……と思った。

読者のことを『最愛の仲間たち』って言うんだよこの作品 あ~~~……
このくだり、ゲームで言えばエンドロール終わった後の『Thank you for plying』なんだよなあ すごいなあ。こんなに読者への礼を尽くした最終回されたらドバドバ泣いちゃうよ 読んだ時もこの感想打ってる時も泣いてるんだけど

 

巻末コメントにもあるように『この作品は、皆さんと作った物語です。』という意識が根底にあって
読者の皆が応援してくれなければ、背中を押してくれなければ『鬼滅の刃』という作品は続かない、打ち切られて終わってしまう。そういう土壌で『戦っている』作品だった。作者や炭治郎だけの力では未来を掴み取ることはできない

だから無惨を倒せたのは、炭治郎たちが未来を掴み取れたのは『あなた』のおかげなんだよ、ここまで一緒に戦ってくれてありがとう。炭治郎たちと共に歩んできてくれたあなたは尊い存在で、大切な人です。だから精一杯生きてくださいね。 というメッセージ いやすごい……すごい………すごいな・・・・・・・・・・・・

雑誌連載マンガじゃないとできないようなメッセージでマジですごい。私はゲームにどっぷりハマることが多いから『プレイヤーが操作することで得られる体験』であることを踏まえたサンキューフォープレイングは体感したことがあるけど、マンガって媒体だとこういう こういう感じか すご すごいな・・・・・・・・・・・単行本を後追いしただけの私がこのメッセージでドバドバ泣いてるのに、こんなん連載ずっとリアルタイムで追ってる人はどうなってしまったんだ……

 

『読んでくれてありがとう!応援してくれてありがとう!みんなのおかげで完結することができました!』っていうのは言ってしまえば一種の定型句で、社交辞令的な無難コメントだと思うんだけど 、それをここまで実感のこもった強いメッセージにして発信できるっていうのはさ~~~~これも『鬼滅の刃』と吾峠先生の『描き、伝える力』そして『優しさと真心』に他ならねえよ・・・・・・・

…連載マンガを完結させられる作家さんは総じて凄いっていうのは前提で、でもどんな気持ちでそれを為しているかは当然人それぞれだろうから…的なニュアンスです。

 

本編中幾度となく感じてきた『要約するとベタでありきたりになりそうな記号のものだけど、描写力と伝える力によって説得力と実感を持って心に入ってくる』っていうの、このメッセージの伝え方もそうで、マジ……すげえなあ~~~~………

例えばだけど鬼滅の話の内容を第三者が短い言葉で伝えようとするとマジでありきたりで聞き飽きた概念ばかりになっちゃう気がするんだよね。ああまた悲しい過去の敵か、善人主人公か、登場人物が子供作ったオチか、来世か、読んでくれてありがとうか みたいな。でも実際にしっかり最初から読むと全然そんなことはなくて、全部ぶっとい芯が入ってて説得力があって唯一無二で、大切なことを伝えようとしていて…みたいな、なんか、なんかそういうところがマジでスゴイ・・・・・・・・・・・って思う。鬼滅の刃 すごい作品だなあ……

 

私オタクの言説でたまに見る『こういう展開はダセエし飽き飽きなんだよ!こっちの方が面白いじゃん!』みたいなのがすげえ嫌いで、まあ槍玉に挙がる代表的なのが敵の改心だとか子作りオチとかだと思うんだけど。
ああいう言説の何が苦手って、記号的な要素だけで是非を決めつけてるところが嫌なんだよなあ。記号は記号でしか無くて、そこに至るまでにどんな流れがあって、どんな意味を持たせるか・どんな肉付けがされているかによって真価が決まるものなのに。要素や記号だけで判定できる物語なんてこの世には無いのに……その言説こそダセエだろ……って思う。

鬼滅の刃、マジでそういう『記号的要素で揶揄されがちなベタなやつ』にしっかりと肉と意味をつけてぶっとい芯を通したような作品だったので……面白かっただけじゃなく違う意味の感動があったというか すごい作品だよ……何回すごいって言ってんだ すごい すごいよ~~~~

 


 

吾峠先生マジでスーパーヒーローみたいなマンガ家だな……善と礼と真心と綺麗で美しくいて優しいものを伝えるための超絶スーパー圧倒的な力がある
想いと願いを遂げるだけの力がある……心技体全てを備えた力がある~~……

描く・伝える能力は最強の力だよ 私がいつも欲しい欲しい言ってる力のすべてがここにある すごい 鬼滅の感想打ちながら何回すごいって言ったか分からん

48回だった