ノベライズごっこ

描いたマンガのノベライズ的表現が見てえ!!という願望から生み出されてメモられていた謎のログ、文字創作は一本たりとも書き上げたことがない人間の拙い真似事
書きたいところだけ書いてるので全部中途半端です。視点もバラバラ

砂の城

「…私で良いのだな?」

巨大な男の神ー…崇良親王が真っ直ぐに問いかける。少女は彼を見上げ「ああ」と、短い言葉で返答した。
その様子は本来の彼女を知るものならば必ず「らしくない」と感じであろう弱々しいものであったが、眼には確かな意思の光が宿っている。
僅かな差ではあるものの、数日前の自失茫然とした彼女とはまた違う姿が崇良親王の目の前に座していた。

そして“それ”は不意に動き始める。
徳甲一族八代目隊長として誰よりも人の上に立ち、力と威厳に拘っていた彼女が絶対に譲らなかったもの

彼女が“なりたかった己”を実現するためには決して見せてはいけなかったものが

呆気ないほどあっさりと、崇良親王の前に晒された。

 

更紗のこうべが、彼女にとって本来あるべきではないはずの位置にー…他の何よりも低い位置に下げられたのだ。

 

床に頭をつける小さな女と、それを黙って見つめる巨大な男。二人は一寸も動かず、蝋燭の火の揺らめきだけがその空間に時間が流れていることを示している。

一瞬のような永遠のような間ののち、女は僅かに口を開いた。
意識して低く大きな声を出すようにしていた彼女のものとは思えぬほどか細い声色が大男の耳に届く。

「子供を…」(メモはここでとぎれている)

途切れポイントが半端すぎる
更紗が頭を下げるシーンやばな奈ちゃんと田力主との邂逅シーンあたりは一つの動作にめちゃくちゃコマ数を使ってるんですが、ああいうシーンは『セリフやモノローグで説明したくはないけどめっちゃ強調したい部分』だったりします。どう表現したら良いんだろうねああいうの…

其れはうつろう、とどまらず

その時

ー花火が彼らを照らした。
夜、人気のない路地裏、そこにいるのはひと組の男女。
女は着物をはだけた姿で男を見上げている。小柄な体躯の割に曲線的な輪郭を描く彼女の健康的な膨らみが、彼の眼に映し出される。

この状況はまるでー…

 

「…一番星さん?」

 

ハッとした男の顔は、その大きな耳の先まではっきりと変容していた。まるで全身の血液が一箇所に集中しているかのような有様である。

「顔が紅潮しています。熱でしょうか?」

ああ、そんなベタな…そんな声も出ず、考える間も与えられないまま、彼女の手のひらが男の額に押し当てられた。
人より少しだけ冷たい、しかし柔らかい手のひらの感触が、男の神経を嫌というほど刺激する。男は裏返ったような呻き声をあげ、彼女から距離を取る。

「あーー!うわーー!!違う違う!!」

腕を振り距離を作ろうとする男の「違う」という言葉の意味が理解できないのか、彼女は不可解な表情を浮かべた。
そんな間にも、花火は男を揶揄うかのように絶え間なくその花弁を開き続ける。

薄暗い路地で二人きりになりがち

糸(中編)

オレにはさっぱり分からない。

オレの波動砲は姉貴に『使えない奥義』だと断じられた代物だ。実際、決戦において緋ノ丸が指示することは一度もなかった。
なのに何故、よりにもよって今、こいつはオレに波動砲を要求しているんだろうか。

こいつは星野郎とめちゃくちゃ仲が良い。呪いを解けばずっと一緒に生きていける……そんなヤツが手を払い、奈落へ落ちていった。

オレなら?もしも“アイツ”がここまできてオレを拒絶したら?
……想像したくもない。だがこいつの状況は正にそれだ。混乱で頭がおかしくなってしまったのではないか……そう思うだろう。

 

ーー数ヶ月前のオレならば

 

「ルリオ」

オレはこの目を知っている。
オレたちの隊長がこの目で真っ直ぐオレたちを見据えている時、こいつは既に何かを決意していて、何かを成そうとしているんだ。そして、どんなに無茶だと思ったこともやり切ってしまう。
ーーーそう、例えば“全てを守り切る最強無敵の盾技を創る”とか、“その技で宿敵・朱点野郎の攻撃を本当に全部防ぎ切ってしまう”とか

もう考える時間はない。説明を要求する時間もない。足元に伝わる振動と浮遊感がオレたちに刻限を知らせている。

 

「分かった!分かったよッ」

オレにできることは一つだけだ!いや、始めから選択肢なんて存在しないのだから!!

 

「緋ノ丸ッ!!」

 

オレにできるのはこいつを、オレたちの隊長を…

 

「信じてっからな!!!」

 

オレは天に銃口を向けた。緋ノ丸がオレの重心を保つように肩と背を支え、力を分けるための術を早口で詠唱する。

「3…」

オレと緋ノ丸の力が込められた銃口に光の粒子が集まっていく。

「2…」

僅か数秒、その間にオレの心臓は何度拍動したのだろうか。

「1…」

 

「発射ッ!!!」

「ノベライズ版の心情吐露がやばい」ってなるタイプのやつ
でもこういう状況って人間どれくらい思考回せるものなんだろうか。ルリオちょっとバカっぽいし勉強とかはできるのにサボっちゃったりするタイプかなって思うけどIQは高そうなイメージあるから頭回るっちゃ回るかな?

ルリオがおっさんを相当アテにしてるところとかなり緋ノ丸を信頼してるところ、本人はまだイマイチ自覚なさそう(ここまで吐露しておきながら)
ガキなので


聞いたことのない声だった。当然だ
目の前にいるこの男が声を張り上げるところなど見たことがない。それどころか、友に否定の意見を投げかけたことすらなかったのだから。

まるで今の声を誰が発したのか分からない、とでも言うかのように目を見開いた。返すべき言葉は見つからなかった。

一番星が硬直していると緋ノ丸は足袋のまま冷たい地面に足を下ろす。

「ホッシーに何が分かる…ホッシーは何も分かっちゃいない」

緋ノ丸はその常人離れした体躯を丸め、両手のひらを勢い良く床に叩きつけながら一番星の顔を覗き込んだ。
先ほどまで直視せずに済んでいた彼の瞳が、眉根が、口元が、彼の心境を物語る全てから逃れることができなくなる。一番星のまなこには怒りで顔を紅潮させ、それでいて今にも泣き出しそうな男の顔が映し出された。

「俺にとってのホッシーのこと何も知らないくせに…!!ホッシーを悪く言うなッ!!!」


ちなみにここ台詞書き出した段階とマンガにした段階で微妙に構成変わってるので流れが違う
文字ベース時点では【緋ノ丸がふざけんなと叫ぶ→ホッシーに覆いかぶさる→また叫ぶ】だったけど、マンガでは【ふざけんなはボソっと言う→ホッシーに覆いかぶさる→叫ぶ】になってます。なんか前者はマンガにした時しっくりこなくて
このノベライズごっこはマンガ作業ここまで到達してない時に書いたので流れが文字ベース版基準なんですね

「当たり前だろ 全部ホッシーが一緒なの前提なんだから」

「俺はホッシーに一生捧げるくらいの気持ちでいるんだぞ」

……この男は何を戯けたことを言っているんだ。
爽やかに微笑みやがって。お前のように誠実な美丈夫にそういう言葉をかけられたい女がどれだけいるか、分かっているのか?
どうしたって、おいらなんかにそんなことを言うんだ。……いや、その理由は緋ノ丸自身が吐露していたけれど。理由は分かった、それでも“何故自分なんだ”という気持ちは消えなかった。

緋ノ丸のことを良く知らない人間なら、友人同士の軽口だと思うだろうか。だがこいつはいたって本気で、大真面目なんだ。口元は笑んでいるが、こいつが“この目”で奇想天外な目標を言い放ち、それを実現してきたことをおいらは知っている。

『お前のために一生捧げる』本気で言っている。そういうのはいつか好きになるかもしれない、愛するかもしれない誰かのために大事に取っておけば良いのに。緋ノ丸は血反吐を吐きながら努力してこの人生を手に入れたのに。おいらなんかに構わなくたって良いのに。おいらなんて放っておいて、幸せになっちまえばいいのに。

こんな時、“一番星”はどんな表情をして、なんと返していただろうか。思い出せない……否、わからない。
真剣に思いつめた顔をしていたら少し軽い口調で接しようとしただろうな。だけど微笑みながらこんなことを大真面目に言われたことなんてないんだから。そもそもおいらはもう“一番星”じゃない。

そんなことがぐるぐると頭の中を駆け巡り、返す言葉に詰まっていたおいらはどんな顔をしていたのだろう。きっとひどい顔に違いない。

 

「……重いんだよ、お前」

おいらはこんなに口下手だっただろうか。

 


 

おいらが卑屈な物言いをして、緋ノ丸が笑顔で言い返し、肩を叩く。
一体これはなんなのだろう。これは本当においらと緋ノ丸の姿なんだろうか。

 

おいらは一度死ぬつもりで、自分自身に催眠の術をかけた。
鬼にかけた眠りの術がすぐに解けるのは、奴らがその術に抗おうとするからだと聞いた。つまり抵抗を捨て、術を受け入れれば深く長い眠りに落ちることができる。

随分長く眠っていた。目を覚ますと家にいて、呪いは解けていて、緋ノ丸や、まつりやルリオ…オッサンがいて…イツ花だけがどこにもいなくて
今もおいらは寝て起きて、飯を食ってクソをして、生きている

ただ、時々すごく妙な感覚に襲われるんだ。夢の中にいるような、ふわふわした感覚だ。
今までとは全く異なる速度で時が流れ、武装して鬼の巣窟に潜り魔に属するものを倒すという“おいらたちの日常”も無い。京の景色は同じはずなのに、何故だか違って見える。

 

……そもそもここは本当に“現実”なんだろうか。

 

おいらはすでに死んでいるか意識が消滅するかしていて、長い夢を見ているのかもしれない。
だからもしも今おいらが死んだとしてもこの夢が終わるだけで、緋ノ丸たちには何の影響もないかもしれない。

ここが本当に現実だということは証明できないし、確信できない。
だけど夢まぼろしであることも証明できないし、確信することはできないだろう。

どうしてこんな風になってしまったのか。正直もうよくわからないんだ。

 

だけど今目の前にいる緋ノ丸が「此処にいろ」って言うから、とりあえずしばらくは此処にいようと思う。

ホッシーはあんなだけど別に人格が変わったわけじゃないから緋ノ丸に対して幸せで満ち足りた未来を歩んでほしいと思ってるし、ほんとに誰より彼を案じてると思う
だからこそもう生きてるのか死んでるのかよくわかんないし罰せられて然るべき最悪なやらかしをした自分なんかにかまうんじゃないよ、人生を無駄遣いするなっていう。まあそれを直接言うとマジでキレられてしまうんだけど
そのせいで微妙にツンな態度になっちゃう 難しいね

2人はどんな未来を歩むのだろう