4月頭からプレイしていた『十三機兵防衛圏』クリアしましたよ!
ネタバレ含むプレイ中のつぶやき・感想はてがろぐのプレイメモに↓

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いやー噂に違わぬ傑作ゲームでした。
ネタバレはないですが、全く何も前提を入れずにプレイしたい人は読まないよう。
ゲーム概要(ネタバレなし)

巨大な怪獣が襲い来る1980年代の日本を舞台に、13人の少年少女たちが『機兵』という巨大なロボットに乗って戦うゲームです。
ゲームの形式としては、13人それぞれの主人公の物語を追うアドベンチャーストーリー形式の『追想編』と、機兵に乗って戦うシミュレーションバトルモード『崩壊編』の2つを並行して進めていくというもの。
▲アドベンチャーストーリーモード『追想編』
▲シミュレーションバトルモード『崩壊編』
アドベンチャーモードとバトルモードはそれぞれ独立しており、好きな方を選んで進めていくことができます。ストーリー見たらその流れでバトルをクリアしなければならず…みたいなことはないので、「今日はちょっとストーリー何本かだけ進めようかな」とか「今日はミサイルぶっ放したい気分だな」とかいう具合にその時の気分で2つのゲームが楽しめる感じですね。
(例外としてチュートリアルはストーリーとバトルが連続して発生します。)
最終的には両方を最後までクリアしないといけないですし、バトルモードのステージをアンロックするためにはストーリーをある程度進めないといけない(逆も然り)、ストーリーモードで得たポイントをパワーアップに使える、など連動しているところもありますが、基本的にはそれぞれが独立しています。
13人の主人公にフォーカスしたストーリーと、13人の主人公を動かして戦うバトル、両方を進めながら、今この世界で何が起きているのかを知り、真実を追い求め、彼らの行く末を見届けよう、という感じの大目標設定になっています。
アドベンチャーモードで見たイベントや、手に入れたキーワード(人物や用語)は『究明編』というモードに随時格納されていきます。イベントアーカイブはいつでも見れる上、時系列順に整理されているので見返すのに非常に便利。気になるイベントを探しに膨大なアドベンチャーモードのチャートを戻ったりしなくて大丈夫な作りになっています。
ゲームの概要は以上です。
ゲームの感想(ネタバレなし)
いや~~なんといってもプレイ中ずっと楽しいゲームでした。楽しむためのホスピタリティに溢れている。
前述の通り、ストーリーモードとバトルモードをそれぞれ進めていくことになるわけですが、両方めちゃくちゃ楽しんでしまった。最初はとりあえずキャラのこと知りたいしな~と思ってストーリー中心に進めていて、バトルはやや後回しにしていたんですが、いざバトルを始めてみるとこれが楽しい楽しい。何が楽しいって、ミサイル発射する時の音とエフェクトとダメージ演出がとにかく気持ちいい。私はミサイルを撃つためにこのゲームをプレイしているのかもしれない。
静止画では本当に何も伝わらないんですが、長距離ミサイルで大量の敵をまとめて爆散させる時、この世の快楽の全てか?となる。
戦略シミュレーションとしてもよくできていて、編成やスキルを工夫しながらステージ突破を目指すというシンプルなゲームプレイ的楽しさは当然あるのですが、いやあね、こういうエフェクトが気持ちいいのってすごく大事なんだなって思いました。キャッキャッキャ!!!ってなる。ミサイルを撃って敵の群れを蒸発させたり、近接大火力パンチでデカい怪獣をぶちのめしたりするとキャッキャッキャってなる人はやるべきですよ。“快楽”になれるので。
ちなみにバトルの難易度はイージー・ノーマル・ハードの3種類あり、バトルはそんなに…とにかくストーリーが見たいんで…という人にも優しい作りです。私はノーマルでクリアしたので、イージーがどの程度イージーにしてくれているかはわからないのですが。
ノーマルでもそれなりに歯ごたえのあるバトルを楽しめました。歯ごたえがあり、それでいてあまり詰まらないという絶妙な難易度調整を感じた。
そしてこのゲームの核であるアドベンチャーモードもまた素晴らしい。ストーリーとしては、13人の主人公を好きに選んで進めていく内容。なので基本的に時系列バラバラ、これ今どこの話?いま何の話してるの?この人誰?何?序盤はこんな感じで進めていくことになるのですが、進めていくごとに少しずつパズルのピースが埋まっていく感覚がメチャクチャ楽しいです。トヤマこういうのだいすき。
中盤は設定周りで「どういうこと???????????」「もしかして前提知識いるやつ?????????」など大混乱することもあったんですが、最終的には割合複雑な設定をかなり丁寧に手とり足とり説明してくれるので、私と同じようなタイプの人はとりあえずゲームの進行とキャラクターにキャリーしてもらいましょう。細かいところ良くわかんなくても楽しめる内容とは思う。もちろん、出た情報を見ながら“考察(ゲーム内に待ち受ける真相を推察する遊びを指します)”するのも楽しいと思います。
最初はこんな大人数把握できへんわという感じだったのが、最終的には全員を立体的な人間と認識できるようになる、というのはこの手の群像モノ名作あるあるですね。
ストーリーの縦軸が面白いというよりは、ストーリーの横軸に広がるものを集めていき全貌を知っていくのが面白い、というタイプのお話ですね。前述の通り、得た情報は『究明編(用語・イベントアーカイブモード)』でいつでも参照することができるのが本当に丁寧です。本当に情報が膨大なので……。
十三機兵防衛圏のここがすごい!:報酬系への刺激がてんこもり!
個人的に十三機兵の一番すごいと感じた部分はここですね。ゲームをする上での報酬系への刺激要素がとにかく多い。短期的な細かな報酬をたくさんもらいながら、長期的な目標達成(クリア)に向かうことができる、というところがとにかく優れていて、本当に素晴らしいと感じました。
ゲームをプレイして得られる報酬、それは経験値であったり、振り分けポイントであったり、アイテムであったり、トロフィーだったり、ストーリー進行であったりとタイトルによって様々で、人によってどういう報酬が貰えると楽しくなっちゃうかはそれぞれだと思います。なのでこれはかなり『自分の報酬系刺激デッキ』の話になってしまうのですが。
私がゲームをプレイしている中で与えられると大喜びする『報酬』は以下の通り
かなり原始的本能的な報酬の部分。音が鳴るおもちゃは、楽しい。
積み重ねてきたものを実感できてうれしい。貯金額を見てる時みたいな感情。
自分が「こうすれば上手くできるんじゃないか?」と立てた仮説を検証し、そのレスポンスを得られること。作戦がうまくいくと、うれしい。
キャラ・オタクなので当然うれしい。人間性を垣間見たり、関係性を知っていったり。最初はハリボテのパネルみたいに見えていたキャラクターの立ち絵が、次第に立体的に、多面的に見えてきて、生を感じる瞬間、オタクは喜び、鳥は鳴き、僕は歌う。
世界の独自性を感じられる要素。ここが面白楽しいゲームって最高。妖怪情報吸いになる。もっとこの世界を知りたい。この世界ってこうなってるんだ!と分かると嬉しすぎる。
進めば進むほど興味レベルが増し、『知りたい!→知れた!』のサイクル、この先一体どうなっちゃうんだろうと思わされると嬉しすぎる。
私の大好きなゲームはこの項目を2~4個程度満たしていることが多い気がします。まあ別に満たしていれば満たしているほど好きなゲームになるかというとまたちょっと違う話にはなるのですが。ただ、この項目を満たしていればいるほど、プレイ中の楽しい度は高くなっていきます。やっぱりね、最終的にクリアという遠大な目標に進むにしても、自分の手でプレイする以上は道中が楽しいに越したことはないですからね。
で、十三機兵防衛圏のすごいところは、私の報酬系デッキを全て満たしているところです。これ全部満たしてることなかなかないですよ。ストーリー系キャラ系のゲームは音の鳴るおもちゃ系快楽回路は満たしてない、とかいうこと割と多いし。
十三機兵は全部ある。ミサイルの爆発で悦び、機兵のレベルアップと強化に目を細め、どういう編成にすれば怪獣を仕留められるか脳内作戦会議をし、進めれば進めるだけキャラクターを知っていけて、独自の世界観をさまざまなテキストから吸い、進行したストーリーに膝を打つ。全部ある、全部。
私は割とゲームでもアニメでもマンガでも最終回主義・エンディング主義じみたところがあるんですが(道中がどれだけよくても最後が微妙だと「なんだかな…」となってしまう性質のこと)十三機兵防衛圏さんにつきましては、あまりにも道中の報酬系刺激が手厚すぎて「もうこれ万が一エンディングが尻すぼみでも許せちゃうな」とさえ思えていました。
十三機兵防衛圏のここがありがとう:エンディングもよかった
プレイ中気持ち良すぎて「もうこれ万が一エンディングが尻すぼみでも許せちゃうな」とか思っちゃったわけですが、いやー良かったですよエンディングも。ネタバレはしないのでご安心ください。ふわっとしたことを言います。でもふわっとしたことも聞きたくない人は読まないよう。 次の項目に進んでください(このリンクから飛べます)
なんというかですね、プレイヤーへの愛のあるエンディングでしたね。13人の主人公の膨大なストーリーを見て、10×3ステージのバトルをクリアする必要がある、かなりボリュームのあるフルプライスのゲームです。エンディングに辿り着くには40時間以上かかるゲーム。それだけの時間を取ってくれたプレイヤーに報いてくれるような締めくくりでした。
なんか、ここがアニメやマンガとは少し違う、ゲーム媒体特有の『エンディングへの感情』だなあと感じるんですよね。自分の手で物語を進め、少ない時間を消費して辿り着いた先でさ、「うおープレイしてくれてサンキューな!!!」とハグされたらやっぱ…うれしいじゃん……という。
これはハッピーエンドかバッドエンドかみたいな軸ではなくて、『辿り着けてよかったエンド』といいますか…。山に登頂したらそこから景色を眺めて自分の歩みを反芻して『登ってよかったな~』ってなりたいみたいな?
(別ゲーの話になるけど、私のプレイしたデトロイトは最終的に主要キャラが死んだり悲しい結末になったりした人もいたけど、でも自分なりにマジで向き合って考えて選んだ結果なんだと納得できる、充実感のあるエンディングだった。これがハピエンバドエン軸の話ではない、の例だと思う。)
最後にプレイヤーと握手してハグするような締めくくりができるかどうかってマジで制作側の真心というか、貴重な時間と金を出してプレイしてくれてありがとう、いい体験をしてほしい、という気持ちがないと決して与えられない感覚なんじゃないかなと思っています。私はその極みがグノーシアだと思ってるんですが、十三機兵防衛圏にもそういう雰囲気をひしひし感じたな。
一応具体的にどういうところにそれを感じたかというと(ネタバレたたみ)
ネタバレ注意(クリックで開きます)
- 一番は、NPCたちの扱いですね。実は現実世界には存在してません、全員AIですというまあまあショッキングな設定ではあるものの、彼らを決して切り捨てなかった姿勢がとてもよかった。あれNPCスルーして15人はどっかの星でしあわせにくらしましたとさ。めでたしめでたし。してたら、プレイヤーによっては「俺達はなんのために何十時間も戦ってたんですか?」と虚無感情になりかねないし。長い時間付き合ってきた世界を大事にしてくれるの、めちゃくちゃ良かったな。作中キャラ感情・大団円的にもよかったし、プレイヤーの頑張りへの報いとしても良かった。お前らの見てきた世界は仮想現実だけど“本物”なんだよ、と背中叩いてくれてる感じ
なにより『プレイしたことを後悔してほしくない』と言わんばかりの姿勢に一番感銘を受けた。いいモノ作りしてますねえヴァニラウェアさん……。
まあ私が勝手にそう受け取ってるだけなんだけど。でも、こういうのって制作陣がインタビューとかで「そういうつもりで作ったんです」と言って裏取りをするより、プレイヤー一人一人が勝手に主観的にそう感じられる方が大事だと思うし。
なんかもう道中も楽しかったしエンディングでは握手&ハグ&キスしてくれるし、ホスピタリティの鬼みたいなゲームだったな。ありがとう、ありがとう。
留意点ある?
素晴らしいゲームなんですけど、まあ別に全人類向けというわけでもないので、『こういう人には向いてるかも』『こういう人にはあんま刺さらないかも』を記載しておきます。私の主観ですが。
こういう人には向いてるかも
・群像劇が好き
・世界を知っていく体験が好き
・カップルなんて成立すればするだけいいですからね、の人
・ある程度はゲームをプレイしたことのある人
こういう人にはあんま刺さらないかも
・絶対的な主人公を中心にグングン進んでいくお話が好き
・ストーリーの縦軸を追いたい(どっちかっていうと横軸の広がりが主なため)
・やたらめったらカップルが成立するみたいなのはちょっと…な人
・ゲーム勘が全く無いゲーム初心者(長いし、複数システム並行プレイになるので大変かも)
・もしかしたら集合体恐怖症的にはどうなんだろう(めっちゃ大量に敵が出てきたり大量着弾で死ぬほど数字が出てきたりするため)
細かいところ挙げていくと無数になるので極力コンパクトにするとこんな感じですかね。個人的にキャラ・オタク向けに言うと本当にカップル大量成立飽和作品なので、そこは好み分かれるのかなって思いました。まあこれもストーリー的にはけっこう重要なんでただ制作者の趣味だけでそうなったってワケではないんですが(ヴァニラはカプ厨みたいな話は聞いたことあるけど個人的には作品にとって意味があるかどうかが重要かなと思っている)
これ何度か言ってるんですけど、カップル大量成立と言いつつ『普通のゲームやマンガアニメだとこのポジションのキャラとキャラって最終的にくっつかんこと多いよね』みたいなところが普通にくっついたりするので、なんかそういうテンプレ的世界の意思に弾かれてきたオタクは報われるところがあるのでは……みたいなことを少し思った。まあ全ての恋慕思慕が叶うほどハッピーだけに満ちた世界というわけでもないのですが。
えーっとだいたいそんな感じです。いいゲームだったな~
最後に私の快楽ミサイル着弾スクショ集を貼っておきます。
やっぱこれエフェクトが花火みたいになってんのが天才だと思うわ