グノーシア/開発インタビューを読んだメモ

クリアしてから色々と公式系の記事を読んでいたのだけど、その中で特に興味深かったもののメモとか思ったこととか。

なぜ今になってPS Vitaで出たゲームが10点満点・高評価を獲得したのか?『グノーシア』には制作者がこだわる「プレイヤーとの信頼関係」があった――開発チーム「プチデポット」インタビュー
移植については「前向きに考えています」とのこと

メタフィクション要素のバランス感覚

私がグノーシアをプレイしていて『好きだな~』と感じた部分として、この『メタフィクション的な要素の扱い方』が結構大きかったように思います。

『人狼ゲームという形式』にしても、『チュートリアル中は冷凍されないし襲撃もされない主人公』にしても、ゲーム的には先に『メタ的な理由』から始まるような要素を調理するのがめちゃくちゃ上手いんだよね。

この人狼風ゲームやプレイヤーという存在、夕里子様の台詞なんかからちょっとしたメタフィクションは感じつつも基本的には『グノーシアの世界観の中』に落とし込んでいるところが本当に本当に良いな……と感じながらプレイしていたなあ。

めづかれ:
結局のところメタ構造で表現手法を間違えると、場合によって冷めてしまう可能性があるので、その部分には徹底して気を使いました。

しごと:
初期のころから、メタ構造になりそうな要素はなるべく排除しています。とにかくプレイヤーとの約束事を裏切らないようにしようと思っていました。

それでインタビューのこの辺を読んでめちゃくちゃ納得したんだよね。メタ要素を排除しようとした結果がああいう形だったのか~~!!と

ただ、それでもある程度メタを感じられる内容になっているのはこういうゲーム&プレイヤーの立ち位置だからなんだろうな?多分だけど

私は『メタっぽいフィクションは冷めるし萎えるのであまり好きではない(例えば、異世界転生モノで主人公が流行りの異世界転生だ!みたいな反応見せた瞬間ガン萎えして視聴切っちゃったり)』タイプではあるんですが。

一方で巧みなメタ要素というか、こちらの気持ちを巻き込んで組み上げていくようなよく出来たメタフィクション構造にはメチャクチャ興奮する……っていう非常に一言で言い表しにくい感じなんだけど、グノーシアって本当にこの辺が丁度良くてブッ刺さった理由が超納得できてしまったな

あそこ好きなんだよな。ステータス変更できるイベントで夕里子様が『不安定な存在』って言うところ

メタ的に言えば『設定や人格が決まっていないプレイヤー主人公という存在』とも受け取れるし、作中設定で言えば『イレギュラーで存在しているはずのない存在』とも言えるし…みたいな。

グノーシアって設定のこういうところが本当に巧みというか誠実で大好きなんだよなあ。メタと作中設定のダブルミーニングみたいなのが随所に見られるところマジで好き

 

そして、それもこれも制作陣のプレイヤーに対する誠実さと配慮の結果丁寧に編み込まれたものである…と言われると本当に納得しか無い。ほんと良いゲームだ…

後から『こういう意図がありました』って言うのは誰にでもできるけど、グノーシアの場合プレイしながらひしひしと感じていた部分がこうやってインタビューで語られるものと一致することで『なるほどそりゃあこういう内容になるわーーー!!』って流れだったのが最高に気持ちよかったです。

制作陣の意図や思いは大事だけど、それは作品自体から感じ取れないとあまり意味がないし、グノーシアは本当に作品自体からそれを感じることができたのでサイコーだった マジで

 

分からなくても分かる、ということ

『銀の鍵(ラヴクラフト)』や『グノーシス主義』といった、グノーシアの設定のベースになっている要素について

しごと:
そのあたり僕は本を読んで勉強しているんですが、プレイヤーには関係ないので、説明などをしないで済ませるようにしています。世界設定やキャラクターの背景には絡んでくるものの、知らなくても問題ないように作る感じでしょうか。

めづかれ:
理解できない、あるいはその知識がないとストーリーがわからないということでなければOKにしています。むしろそういうのが入ると雰囲気がよくなるので、エッセンス程度ならいいかなと思っています。

ここもめっちゃうんうんうんうんうんうん!!!!ってなったとこ~~~!!!

私はどっちも知らなかったんですが、知らなくても作中で明かされたことや説明された情報だけで『グノーシア』という作品を読み解くことは十二分にできる…というのがこの作品の素晴らしいところだなあ…と思います。『あれはどういうことだろう?』って思ったことは大体作中情報振り返れば分かる、って当たり前だけどすごい大事っていうか。

勿論そういう謎掛けみたいな『各々で考察してどうぞ!!』って感じの作品もあっていいんだけどね。考察や思考は娯楽なので
あと、擬人化系のジャンルとかもこれに近いかなって(史実や実際の情報を識ることで深みを増す、楽しみ方の一つであるやつ)

私はそういう盤外考察ができないというかあまり興味が湧かないタイプなので、基本的には作中にある要素だけで分かる作品しか楽しめないんですが、グノーシアはそれで十分楽しむことができるし理解できる。でも多分概念の深堀りやエッセンスの汲み取りがしたければこういう元ネタ勉強してみても良いかもね…ってバランスが良いよね~~~と

盤外考察興味ないと言いつつウラシマ効果の話とかはめっちゃ食いつくしな。こういう盤外要素は興味あるところだけ齧って美味しいとこ取りできるくらいのバランスでええんや(主観)

 

メタ要素の話もそうだけどグノーシアって作品のこういう部分のバランス感覚本当に優れているな~~~~・・・!!!と思いますね・・・良いな・・・良いな・・・(噛み締めながら)

 

沙明と恋愛

ことり:
男だと名乗ってくれない沙明(シャー・ミン)とかですね。彼は私の要請でいろいろ手を加えたキャラで、守護天使だと女キャラしか守らないんですよ。協力を申し出るのも女性だけ。沙明だけの特殊処理をしてもらってます。

『乙女ゲー好きらしいことり氏が手を加えてできたキャラクターが沙明である』って事実狂おしいほど好き。沙明マジで夢バキュームすぎて最高なんだよな……

私自身は夢勢ではない(トヤマくんを絡ませにいってるのは広義の夢かもしれないけど今回はもう少し狭義の夢とする)のだけど、一応乙女ゲージャンルを通ったりしているので夢をやっている知り合いもいるため…という体感の話になるんですが、沙明マーーーーーージで夢力がすごくないか??あれほんとになんなんだろう

一見すると『女(または女に見える人)が好き』っていう要素が乙女向けに見えるかもしれないけど、沙明の真骨頂って多分そこではないんだよな。

第一印象の悪さとか、ちょっとずつ知っていくことで「あれ?この人…」ってなる感じとか、まあまあ重めの過去とかギャップ部分、それらを総合して『あ~~~!!お前はそういうやつだ~~~!!!』ってなる粘菌イベントとか、なんかこう上手く言えないけど全てが最強の塩梅で夢なんだよな沙明 あいつすげえよな 強い

というか、私は偶々恋愛的な方向に向かなかった(ダチになりたい)だけで本質的な部分は同じだと思っていて、沙明って存在がコミュニケーションだし人と接していく過程において段階的に感じる魅力の擬人化みたいなところがあるというか、それがフィクションの人物を知っていくものとは少しだけ毛色が違うと言うか、全然うまく言えないけどあいつメチャクチャ夢なんだよな……

 

マジでこれ謎の感情なんだけど、沙明がグノーシア二次創作において夢部門で覇権取ってるの大好きなんだよ。ちゃんと漁ったことあるわけじゃないしちゃんと数字集計したわけじゃないけどサラッと見た感じあの人夢覇権だよね?

これ完全に『少年ジャンプの人気投票で主人公が1位取ってる時の感情』でウケるんだけど、丹精込めて作り上げられた沙明という夢向きキャラがちゃんと夢部門で覇権取ってるの好きすぎ 最高 謎の感情

多分創り手が『こうであれ』として送り出されたキャラが多数により意図通り受け取られているという状態が好きなんだと思う(もちろんそうでないから悪いというわけではないけど)

ことり:
レムナンと沙明は恋愛向けのキャラクターとして作ったので思い入れがありますね。

沙明はともかくレムナンも恋愛向けだったのはちょっとびっくりしたけど。恋愛向けなんだ…いや、シピやジョナス辺りに比べるとちゃんと人を好きになりそうって意味では分かるけど。恋愛イベント全然回収できてないから早く見たいな

 

それにしてもグノーシアってゲーム、その性質上あるループで出来た関係は二度と帰ってこないから全体的に刹那の恋愛だなあって思うけどどうなんだろう。私はその刹那感めちゃくちゃ好きなんだけど

グノーシア プレイメモ㊵(LOOP126~127)
LOOP126(グノーシア) ドロー!またSQグノーシアだ! 残り特記空き的にもSQレムナンイベントのはず? 1日目 レムナンと仲悪いやんけ!→信頼宣言 の流れ何回繰り返したかわからんな どれくらいイベントに関係あるか分からないけどとりあえ...

↑SQとの刹那の旅路感に興奮しているトヤマ動物園はここ

 

これほんと私のヘキなんだろうと思うんだけど、グノーシア『クリア』の世界だとほとんど皆プレイヤーにさほど興味ないくらいの親密度で終わるの死ぬほど好きなんだよな……私のヘキなんですけど…

プレイヤーとセツは苦難を越えて、他の皆とも力を合わせてあのループを終わらせたって感じだけど、Day0宇宙の皆からすると『運良くグノーシア騒ぎから逃れてそれで終わり』って感じだから本当の本当に通過点で最高なんだよな。

普通のRPGだとクリアした時一緒にいる仲間たちって『全員で長きにわたる苦難を共有してきた』存在で、故にお互いの強い絆があって…ってなるんだと思うけど、グノーシアの場合プレイヤーとセツ(とククルシカ)以外は誰もそんなん無くてただの通過点として各々の人生に歩みを進めていくのホント~~~~~~~~~~~~~~~~~に大好き。なんでこのことにこんなに興奮してるのか自分でもよくわからないけど大好き

プレイヤーとセツにとっては一つの終点で、しかし他キャラたちにとっては新しい事を始めたり新しい関係を紡いでいく始点である、みたいなのが良いのかなあ。

トヤマはあの後そうやってバラバラに好きなことやってるやつらに会いに行くエンディングを夢見てるわけだけど、人によっては特定の誰かに付いていく人生を想像する人もいるだろうし、ちょっとメタ的に捉えてイレギュラー存在プレイヤーくんが元の世界に帰って消えてったみたいに思うのも間違いじゃないだろうし。なんかそういうのがええな~とも思います。

 

 

ラキオくん

これは別に深く突っ込むような話じゃないと思うんでサラっと流す程度なんですけど

ことり:
たとえばラキオくんは論理的なキャラなので、絶対に指摘を間違えちゃいけないんですよ。これはテストプレイで何度も何度も確認しました。

ラキオ“くん”で良いんだな……(?)いやなんか、ラキオが汎を名乗っている以上どちらかの性別に対応するような呼称は避けた方が良いのかなって思ってたので。

ラキオの話ししてるとついつい三人称で『彼』を使ってしまうことがあるんだよね。無意識下でラキオを男だと思っている・・・ちんちんついてるけども・・・これはよくない・・・みたいな気持ちになってたんだけど、ことり氏がこれくらいのノリならそんなに重く考えなくていいか!!笑

まあ正直呼称とか三人称とかって厳密な言葉の意味で考えてもふわっとはしてるものな。『彼』や『少年』は男女問わず使える意味も一応あるし、女性キャラに『くん』を付ける愛称もあるし。あとラキオはちんちん見られても気にしないくらいだからちょっと口が滑ってくん付けしても気にしなさそうだし(??)

私のこの、ラキオはちんちん見られても気にしないって事実に対する謎の信頼なんなんだよ

 

元々『少年』って言葉はあんまり性別関係なく使っちゃうんだけど私は 少年は良いよ 少年は コメットも少年(広義)だし

第三の性が当然のものとして存在している世界の話をしてると、男女どちらかに定義振り分けがちな日本語ってやや不便だなあと思う今日この頃だな。外国語はどうなのかあまり良く知らないけど。きっとグノーシア世界の公用語とかは汎の存在込で色々変化して行ってるんだろうな~

 

 

識別年齢について

――このゲームのキャラクターには「識別年齢」が用意されていますよね。これは具体的にどういうことですか?

ことり:
識別年齢はキャラクターの肉体年齢のことですね。あの世界ではコールドスリープが一般的なのでそれで肉体の年齢が止まることもありますし、あとは亜光速で移動すると自分の時間がゆっくりになる「ウラシマ効果」もありますので、区別するためにつけています。

この辺はプレイしながら考えてた通りだったので新しい情報って訳じゃないんだけど、確定として語っていい情報としてありがてえな…!!!ってなったところ

ほんと我々の旧宇宙時代とは時間と年齢の捉え方違うんだろうな~~この世界。宇宙を移動したりコールドスリープすることによる年齢のズレを織り込んで人間が生きてる感じ。場合によっては子が親より年上になったりすることも『あるあるw』みたいな話になるんだろうか。因みに私は姉より年上になる弟がヘキです。

そんな世界だから皆何の疑問もなく100年とか1000年とか言ってたんだな。寧ろわざわざ説明する方が違和感あるくらいの世界観なんだと思うと納得感が凄い。

 

――そういえば、しげみちは識別年齢が88歳とかでしたよね? あの少年のような性格で……?

しごと:
それがしげみちのすごいところですよ(笑)

ここの一文だけでしげみちへの好き度が10倍くらいになってしまった(単純)(少年性のオタク!!!!)

マジでしげみちタイムスリップしてリトルグレイになったのかもしれんな…少年だから 少年は何にでもなれるから

 

――だから塩分を気にしてるんですね……。あと、ジョナスが100年くらいゲームを遊んでいたという話はどうなるのでしょうか。

ことり:
あれは「宇宙が100年経った」というだけであって、本人はその間に何度もコールドスリープを繰り返しています。ゲームをして詰まったら攻略情報が出てくるまでコールドスリープ、というズルいことをしていました。

ここがこの記事最大級の衝撃だったんだけどお前嘘だろお前 ズルやんけ!

ジョナスが『識別年齢10歳加齢程度で1000年分時間経ってる』のやべーと思ってたけど、そんなカジュアルにコールドスリープしてたならまあ…成程・・・・・・

仮にジョナスが70歳くらいまで生きるとして、これまでと同じように生きてたら軽く4000年くらい経っちまうの意味不明にも程があるんだよな…でもジョナスならなんか分かっちゃうの嫌だな 嫌じゃないけど

いくらコールドスリープやウラシマ効果が一般的だと言っても、人間は基本的に社会の中で集団になって生きていく生き物だから、おそらく気軽に100年も1000年も飛ばして生きられる人ってあまり居ないと思うんだよね。起きたら知ってる人が誰もいないとか流石に怖いやん。あと誰も彼もが気軽にコールドスリープしてたら社会回らんし

でもそれをカジュアルに繰り返せるところがジョナスのやべーところであり公認廃人たる所以なんだな…すごいわマジで。

4000年後の宇宙でも、その世界の若者がジョナスお爺ちゃん(5000年前の旧宇宙時代の英雄)に出会うかも知れないと思うとすごいことだな。でもジョナス老いることを拒絶してるところあるから流石にそこまでジジイになったらカジュアルに自殺したりしてそうな気もする カジュアルに自殺するな

何千年も仕えた主人を看取って休眠するステラ、軽くRPGのキーパーソンの精霊みたいでめっちゃ面白い。時間感覚が壮大過ぎる テイルズオブシンフォニアか?

 

レムナンがコールドスリープありきの仕事に就けたのは彼自身が一人ぼっちで天涯孤独で繋がりを持っていなかったからだろうし(繋がり作った後の彼はこういうのメチャクチャ拒否しそう 怖いから)、時に置いていかれるような選択を取れるのは基本的に社会と繋がりの薄い人なんだろうなって。

だからこそジョナスはやべーし公認廃人なんだな…(2回目)

 

いやもう考えれば考えるほどグノーシアのキャラみんな好きで良いな。月並みな言葉だけど