徳甲一族 英霊の歌

マンガ描いたりしつつ俺屍Rをじっくりプレイする記録

一族あと語り / 05 竜ノ助

1年越しの徳甲一族キャラ語り 第5回になります。
これ何?という方ははじめにを御覧ください。

竜ノ助-沿革

 

青之進と風車お七の子供。

 

地上に降りる前から、あなたの父親は生きてはいまいと教えられた。竜ノ助の母は儚げな外見と裏腹に、とてもきっぱりと物を言う神だった。

当人はというと、そのことは特に気にしていなかった。最初から無いものを、どう求めれば良いのだろうか?とすら思う

…そうだな、面倒なことを避けたい時や、頼れないヤツだと思われたい時、見ず知らずの父親を利用してやろう。「先代ならできたかもだけどな〜」なんつって。

口癖のようにそんな発言をする度、叔母…彼に名を与え彼の世話をしてくれた黄々が苦い顔をするので、すぐにやめた。
悲しませたくないなんて殊勝な理由じゃない。嫌な気持ちを抱かせるのは面倒だからだ

 

『竜ノ助と共に戦う者たち』が屋敷にやってきた。

大也。こいつはただのバカだ。脳筋の親父に可愛がられて、黄々さんにも愛されている。ていうかなんだその髪型 フキノトウか?

アヅキ。こいつは色々おかしい。来訪直後に父親が大江山に突撃して玉砕、奇跡的に生還したため訓練を受けることはできたが、親子の関わりなんてそれだけだ。終いには何も言わずに川に飛び込んで死んだらしい。頭おかしいだろ

聞く話によると母親も相当素っ気ない神だとか。こいつ、下手すりゃ俺より“親がいない”んじゃねーの?
にも関わらず正義だのなんだのを信じて戦うらしい。どうかしてるぞ

竜ノ助は出来るだけ面倒を避け、楽に生きたかった。だが、周囲や世界がそれに待ったをかける。竜ノ助はそこそこ才能があり、強かったからだ。

アヅキや大也も竜ノ助を信頼しているようだった。「オイオイ、俺はもしマジでやべー状況になったら真っ先にトンズラこくぞ?」全幅の信頼を感じるたびに、そんなことを考える。

しかしそんな状況に陥ることなく、アヅキ隊は各地の迷宮を、最奥の親玉を突破していった。

一族の地力が増していることを確認したアヅキは、この力を更に高めた上で確実に朱点を討つため次世代に託す意思を表明した。苦渋の決断のようだった。
別にいいんじゃねーの?竜ノ助はそれくらいの軽さでその決断を受け取った。

 

生まれ順に交神の儀を行うことになった。竜ノ助が交神を済ませ、大也が天界に向かう。その次はアヅキだ。

そんな中、交神を終えて帰ってきた大也に激怒されてしまった。大也の留守中、竜ノ助がアヅキを放っていたからだ。

『決断をして以来、色々と一人で抱え込んでいた彼女に気を遣わなかったこと』に対して怒っている…らしい。

 

別に心を入れ替えた訳じゃないが、自分しか適任がいないと言うのでアヅキの特訓とやらに付き合った。

あーあー、肩肘張っちゃってまあ…こいつも大也も、もっとてきとーにやればいいのにな。

…だがまあ、感謝されるのは悪くなかった。アヅキのあんな晴れやかな笑みは初めて見たかもしれない。

 

 

大也が死んだ。アヅキを守って死んだ。
こいつは本当にバカだと思う。初めて会った時に思った以上のバカだった。
…笑えない類の

俺も近いうちに死ぬ。アヅキはまだまだ元気なようだが、俺は死ぬ

 

ああ、面倒だ、面倒だな どうして皆、そこまでして面倒を背負おうとするのだろう。

床に伏す俺を見るアヅキの顔は、今にも崩れ落ちそうなほど不安定で淀んでいた気がする。ひでえ顔だ、別嬪のくせに

もしあの世なんてものがあって、こいつらと再会しちまったらどうしよう。そん時はデコピンの一発でもお見舞いしてやろうかな

アヅキも大也も、そんな面倒なもん背負うのやめて馬鹿やって笑ってれば良かったのにな。お前の頭フキノトウみてえじゃねーかとか言ってさ

…いやいや、今際の際に思い出すのがあいつのアホみたいなフキノトウ頭っておかしいだろ。なんか他にあるだろ

そう言えば黄々さんに付いてって採ったフキノトウ和えたやつ美味かったな。大也がいたせいで吹き出しそうになったけど

あー、フキノトウ食いてえ

 


竜ノ助について

こう振り返りつつ遺言までの道筋を辿ってみると竜ノ助、もっと色々描けただろうな〜と思ってしまいますね。

当時は遺言を拾ったマンガ絶対描くぞ!みたいなのは無かったし、「ああ、その遺言も竜ノ助ならなんか分かるわ」で終わったんだけど…これ、描けたなあ〜!

黄々の遺言『(子供たちと)いろんなところへ出向いた』と野草狩りも繋げられそうだし、フキノトウヘッドのギャグ要員だと思ってた奴が鮮烈に逝った直後だし。

大也がいなくなって、アヅキと竜ノ助(と子供達)だけの1ヶ月かあ……徳甲終盤のノリなら40ページくらいなんか描いてそう

序盤から血潮編終わるまではまだ(後半に比べて)抑え気味にサクサク進めようというスタンスだったからなあ。こればっかりはね…

 

最初から後半と同じペースだった場合1世代平均5ヶ月くらいかかる…初代〜六代目血潮編まで半年だったから5×6で30ヶ月……クリアまでプラス2年・合計4年弱ほどかかる計算ですね?2022年完結予定だ…(…)

マジで徳甲やってる時『俺屍をやってプレイ記やマンガを描く』以外の趣味行動をほとんど封じて進めてたので、それを4年近く続けるのはうーん…かなり非現実的と言わざるを得ない。

何よりそれだけの長期間新しい一族立ち上げられないのはなあ。
私があと2、3人いれば良いんだけど

 

…というトヤマクローン化の話はともかく、
こうやって終盤の物量を踏まえて序盤一族の補完量を思うと「もっと描けた気もするなあ」という気持ちになることもありますね。

なのでこの場この形で竜ノ助の遺言など少し掘り下げられたのは良かったなって思います。

 

竜ノ助の立ち位置

竜ノ助、面白いヤツだったなあ。

真面目じゃない、かと言って自由でもなく、情に薄すぎるわけでもなく、なんだかんだ言いつつアヅキのことは普通に好意的に見てたっぽいし。

大也に対しては『自分よりずっと頭が悪くて馬鹿で御し易い相手』としてナメてたけど、気付いたらなんか内面変化してて「え?」ってなったり。

花連様と一発やってやろうと風俗気分で出向いて痛い目に遭ったり。笑

全体を通してすっごい人間臭くて、極めて俗っぽくて良い性格してんな…と思います。

 

アヅキ世代が『正義』とか『誇り』とか、『死より大事なもの』とか、そういう『高尚で武士道精神全開』な2人だったので、余計に彼の一般市民的な感性が際立ってね…好きですね。

一般市民的と言いつつ振り回されツッコミ常識人って言うわけでは決してなく…ただ後ろの方で「うわっ」って引く役。笑

 

竜ノ助と『親』

竜ノ助を語る上で欠かせないのは『親に会えていないこと』そして『それをさして気にしていないこと』でしょう。

それは何故だろうと具体的に考えてみると、やっぱり一生懸命名前を考えて面倒見てくれた黄々の存在であったり、『頭が上がらない』と思わせる程度にはちゃんと関わってたお七さんの存在であったり…が浮かびます。

 

でも上の振り返りをしていて、アヅキの存在もけっこう大きかったのかも…って気もしますね。

それは寂しさの穴埋めとかそういう理由じゃなくて、『自分よりも親関係やべーやつがいる』って部分ですね。『親がいないコンプレックス』を抱える前に『親がいることのヤバさ』の方を強く感じていると言うか。

真赤丸アヅキ親子は別に険悪だったり、アヅキが気にしてる素振りを見せていた訳では無いんですが…。
冷静に考えて物言わぬ人間性欠け落ちた父親(しかもアヅキが0か月のの時にとんでもない大怪我を負って死にかける)(最後は目の前で入水自殺)ってヤバすぎる。

これを一番『ヤバい』と認識できるのは感性が俗っぽくて俯瞰的に彼らを見れる竜ノ助だろうなあって。

黄々と大也(と根来ノ双角)は本当に健全な親子関係だったけど、アヅキ側はマジで色々とヤバすぎてなあ。

親ガチャで真赤丸みたいなヤバいの引くリスクを考えたら、『いない方が気楽でええわ』と思うんだろうな。竜ノ助の性格だと

 

当時は『青之進の息子だし、こういう性格だし。気にしない人もいるでしょうよ』くらいに思ってたけど、終わってからよく良く考えるとこういう理由もあったのかもしれないですね。

黄々に青之進のこと沢山教えてもらっただろうけど、黄々は真赤丸のこともそこまで悪し様に言わないし、結局直接会ったことない人のことは分からないからね。

手紙の文面見て『自分にちょっと似てる。だが自分より優しい奴だ』と考えられたのは竜ノ助の精神がそれなりに成熟してからだろうし

会えてないながら竜ノ助と青之進の間に存在する距離感的なもの、仲良しぴっぴじゃないけど何となく一つの輪として成立してるアヅキや大也との関係……竜ノ助の立ち位置はなんか良いなあって思います。


次回(大也)▶︎2/22更新予定

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テーマの著者 Anders Norén