徳甲一族 英霊の歌

マンガ描いたりしつつ俺屍Rをじっくりプレイする記録

一族あと語り / 09 銀杏

1年越しの徳甲一族キャラ語り 第9回になります。
これ何?という方ははじめにを御覧ください。

銀杏-沿革

 

大也と愛宕屋モミジの娘

 

銀杏の母は武の神で、銀杏の父は武の人だ。
二人によく似て真っ直ぐな彼女が『主に仕え忠義に生きる武人』に憧れて、志したのは必定だろう。

父には、それはそれは素敵な主がいた。アヅキという名の彼女は強く、聡明で、正義感が強くて、礼節を弁えていて、とても凛々しい人だった。長としてだけでなく、人として理想の手本と言える存在だった。

 

そんなアヅキ殿のお子がもうすぐ来訪するらしい。この方の子だ、きっと支え甲斐のある人物がやってくるに違いない!そう確信していた。期待で胸が高鳴った。

 

…そうして銀杏の目の前に現れた人物の様子が、どう考えてもおかしい。

無造作に束ねられた髪は乱れ切っており、手入れを放棄しているように見える。立ち振る舞いは粗暴な男のようであり、少し尖った歯を覗かせるその口はこれでもかと言うほど下品に吊り上がっていた。

そしてその者は言ったのだ

 

「よう!おめえらが下僕たちだな!!」

 

近所中に響き渡ろうかという高笑いの最中、銀杏は口をあんぐりと開け、しばらく言葉が出てこなかった。

 

 

 

それから銀杏の人生は思い通りにいかないことの連続だった。思い通りにならないことしか、…予想や願望と異なることしか起こらなかった。

 

父が死んだ。

父がもう長くないことは分かっていたつもりだ。だが彼は与えられた天寿を全うすることなく、戦場で散った。

帰ってきたアヅキは言った。彼は自分を守ったのだと。
辛い思いをさせて本当に申し訳ないと、誇り高き一族の長が、まだ幼子の銀杏に深く頭を下げていた。その声や体は少し震えている。
銀杏は彼女を責めることができなかった。

 

そして、一体これは何だろう。自分の肉体が変だ。

具体的に言うと、女性の身体的特徴である胸部の成長する早さが他の部位の比ではなかった。
…そういえば屋敷に来た時、イツ花が何か言っていた気がする。立派なお胸に育つかも…とか…

この身体はとかく不便だ。動きにくい、物を持つのに邪魔だ、衣服の丈が合わない。
何より火輪だ。火輪はこの無駄な肉が好きらしく、ことあるごとに接触を試みてくるようになった。

これは天の神様の悪戯なのだろうか。背丈のある葉菜子ならまだわかる、何故自分にこんなものを与えたのか!?

 

大江山で宿敵を討った。
呪いが解けなかった。

父が死んでも守り通した主人…アヅキも間も無く息を引き取った。

 

敵だと思っていた者が敵でなく、得体の知れない男が笑い、世界が大きく変化して、先代までの皆が灯してくれた道標は全て崩れ去ってしまった。

銀杏の予想を、望みを、信じていたものを、世界は尽く裏切ってくる。嘲笑うように、揶揄うように

何故この世界には自分に理解できないことしか起こらないのだ。自分の予想や願いはこれっぽっちも当たらない、叶わないのだ。
ここまで来るとおかしいのは世界ではなく自分自身なのではないだろうか!?

しかし、誰より銀杏を裏切ったのは鬼でも神でもなく、火輪だった。

鬼が凶暴化し、御所から疑念の目を向けられ、大切な肉親を失い、道標を失った世界で、火輪だけは変わらず横暴に、強引に、銀杏と葉菜子を引っ張り回し続けている。京の人々と変わらず交友を持ち、前だけを見ていた。相も変わらず大きな口を開けて下品に笑っていた。

 

そう、火輪は銀杏の考えを裏切ったのだ。

 

 

いつしか銀杏は明日のことを考えるようになっていた。

過去ではなく今と、今から繋がる未来のために行動するようになっていた。

 

生の終わりを感じても不思議と悲しくはなかった。
父を亡くした時は、尊敬する先代を亡くしたときは、死んだことを無かったことにするかのように…思わず捜してしまったこともあったというのに。

仲良く話して、鍛錬に付き合って、自分を慕ってくれているこの子供たちも、死んだ私を捜すようなことがあるだろうか。

それもじきに慣れるだろう。ただ、前を向いてさえいれば

 

 

銀杏について

欠かせない脇役

銀杏はなんというか、主人公的なヒーロー性もなく、ヒロインポジションでもなく、兄貴姉貴的ポジションでもなく、おもしろ要員でもなく、主役回と言えるような大活躍もない、すごく脇役らしい脇役だなあ…って思います。悪い意味じゃなくてね

でも火輪にとっては葉菜子と同等に嫁ポジションだし(銀杏本人は拒否)、火力があって戦力的には欠かせない存在だったし、だからこそ次世代の引率者として申し分ない働きをしてくれて長生きで…。

と、次の石榴世代にめちゃくちゃ綺麗なバトンパスをしていった印象です。(その結果石榴世代が初の髪切りを成し遂げました)

欠かせない存在なんだよなあ…。脇役オブ脇役と言いつつ、番外編的な話で主役やってるところがすごく見てみたい人でもあるかも。

 

『立派なお胸』から始まる、思い通りにいかない人生

銀杏と言えばエンドロールAの方でも語った通り『巨乳』ってコメント引きが絶妙で…というのがやはり最初に出てくるでしょうか。

まあセクハラされてたんですが(世が世なら火輪は訴えられていたであろう)

『きららが割と巨乳設定だった件に触れる機会が一切なかった』ように、世代によっては銀杏の巨乳属性って特別触れられることもなく終わった設定だったかもしれないんですよね。でも火輪がいたからめちゃくちゃイジられてしまった

世代の長ガチャで火輪を引いてしまう銀杏、ある意味すごい運命力だ 世が世なら訴えて勝ってた

 

ただなんというか、銀杏がトランジスタグラマーな件はそういう一昔前のスケべコメディ要素ってだけじゃなくて、『彼女の思い通りにいかない人生を象徴するもの』の一つでもあったなあとか思っています。

武に生きようとしてる人間にとってあの身長に不釣り合いな胸部の脂肪の塊、本当に本当に邪魔だろうな。

ゲーム的にはランダム引きだけど本人的には意味が分からないし神の悪戯レベルでしょう。モミジ母さんは関係ないけど ほんと誰から貰ってきたんだろう

 

『巨乳であること』を『初陣前に父を失ったこと』や『鬼朱点打倒&厳しい未知の世界に放り込まれたこと』と同列に語って良いのかは謎だけど、諸々含めて本当に銀杏って思い通りにいかないことばかりなんだよね。

最期の言葉の『死んだことを忘れて捜してしまうこともあるかもしれない』っていうのはやっぱり彼女の経験からくる言葉だと思う。
思い通りにいかないことばかりの現実から逃避しようとしたこともあるんだろうなという

でも、最期の言葉はこう続くんですよね『じきに慣れる』と

銀杏が『そういう現実に慣れちゃった』のは他でもない火輪のせいというか、おかげというか…

 

銀杏は山越え&アヅキ逝去辺りでかなり意気消沈していました。当然といえば当然ですが

でもその後火輪と色々話して、なんか強引に引っ張り上げられて以降は結構ずっと元気だったように思います。相変わらずセクハラとツッコミで目が回ってただろうけど

非日常に慣らされるというか…火輪ってそういうパワーや影響力めっちゃあるよね…と、銀杏を通じて感じますね。

 

徳甲火輪をぶっ叩ける人

銀杏は逝去前後に大きなエピソードを描いていないわけだけど、個人的に彼女のハイライトは火輪を引っ叩く話ですね。

※寿命迫る葉菜子が不安定な感じになってたのに、火輪は彼女の気持ちも知らずに相変わらずな態度だったので…という話

あれすごくお気に入りです。

 

火輪は絶対折れないし、そんなシリアスにはならないし、心根が鬼強いんだけど、どう考えても完璧超人とは程遠いし『気付かなかったり見落としてしまうもの』も沢山ある。

それが見えるのは地面で必死に生きてる銀杏で、火輪に物怖じせず遠慮無く当たれるのも銀杏で…そんな彼女だから火輪の頬を思いっきりぶっ叩けるんだなあ…みたいな。

そんなでもあんまりシリアスっぽい空気にはならずにコメディっぽいオチ(勢いで隊長代わったけど、隊長のやり方全然分からん&流水道に火属性武器持ち込みしちゃった)つくのが『火輪世代の銀杏さん』って感じがします。

火輪世代好き


次回(火輪)▶︎3/4更新予定

© 2024 徳甲一族 英霊の歌

テーマの著者 Anders Norén